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____…第1話…____ ページ1

小鳥のさえずりが聞こえ、うっすら目を開いた。

重い体をゆっくりと起こし、カーテンを引いた。真っ暗だった部屋が、明るくなる。



…朝だ。



静かな部屋に、顔を洗う水の音だけが響く。長い髪をとかし、横に縛る。

まだ新しいスーツを着て、鏡の前に立った。



ふぅ、と息を吐いて、自分の部屋の扉を、ゆっくり開いた。



その瞬間。


目の前に、茶髪。前髪に赤いメッシュのかかった男が、前方から、凄い勢いで走ってきた。



「うおおお!?A!?邪魔だ!!どけ!!」



スッ…と、静かに、左へ移動した。

走ってきたソイツは、私の目の前で急カーブし、曲がり角を曲がって走って行く。


その時、私の顔のすぐ横の壁に、恐ろしい勢いで何かが刺さった。

ちらっと、目だけで確認すると、三本のナイフだった。




「キヨ!!てめ、ふざけんな!!戻って来い!!」



あぁ…この、ちょっとだけ荒い言葉使いと、青いナイフは……



「フジさん…朝っぱらから、何 騒いでるんですか……てか、ナイフ危ない…私の顔に刺さる所でしたよ…」


「いやいや!!違うの!!キヨが、仕事をサボって遊びに行こうとしてたの!!」




キヨがこっそり遊びに行こうとしていたのを、フジさんが見つけて、連れ戻そうとしているらしい。


誰か一人でも仕事をサボれば、その分を、他の人がしないといけない。



……気持ちは分かるが、何もナイフを取り出すことはないだろう。




「お願い!!緑川さんも、キヨも連れ戻すの、手伝ってくれない!?」



フジさんが、手を合わせてお願いして来た。








「その必要はありませーん。」






その時、ちょっと高い、元気な声が廊下に響いた。


驚いて、フジさんと一緒に、声のした方を振り向く。




汗だくのキヨと、手を繋いで笑う声の主。



「もー。逃げちゃダメでしょ!大臣!!」



…この国の最大権力者。




「おお!ヒラ!!ありがとう!!」



ヒラさんだった。

国王がヒラさん、執事がフジさん、右大臣がキヨ。メイドや兵士。


そして、秘書の私。




あの体力お化けのキヨが汗だくなのは、なぜだろう。




「くっそ…国王に見つかるぐらいなら、フジに捕まった方がマシだったかもしれねぇ………」


「えぇ?ひどいなぁ。どういう意味?」




青ざめて、滝みたいな汗を流すキヨと、ふふっと笑って、繋いでいた手を離す国王。




…朝っぱらから、やかましい城だなオイ。

____…第2話…____→


ラッキーアイテム

大きなカマ


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あみ - 本編最高すぎてこちらも読ませていただきましたが、、、いや本当に神です以上!!(?)本当に好みというかなんというか。ヒ.ジ.キ.の小説で一番好きかもしれません。こ.ーす.け.をのけ者扱いにしているような小説が多いイメージがあったので。この小説が本当大好きです! (2021年7月25日 14時) (レス) id: 2c5fd51ba4 (このIDを非表示/違反報告)
みー - すごく、すごく良かったですっっっっっ...!(大号泣) (2019年11月22日 7時) (レス) id: 7c0d6b05b3 (このIDを非表示/違反報告)
かえで@utaitelove(プロフ) - もう最高です…!!感動したと思ったら次はキュンキュンしてほんと私の心臓どうしてくれるんですか!影葉さん最高です( ;∀;)他の作品も全部読ませて頂きましたがほんとに天才ですね!?これからも頑張ってください (2019年1月1日 21時) (レス) id: a0615ac09b (このIDを非表示/違反報告)
アンジ* - 今になってもずっと読んでます!狂った国の王子様、こーすけが出てきたシーンで大号泣してしまいました。番外編、ぜひ読みたいです!影葉さん、感動をありがとうございました! (2018年8月20日 20時) (レス) id: a0d4f82c90 (このIDを非表示/違反報告)
夜猫 - ヒラ可愛い!死にそう! (2018年2月3日 5時) (レス) id: c27b932811 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:影葉 | 作成日時:2015年12月5日 14時

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