27. そういえば。 ページ29
季節は、梅雨。
あの衝撃の出逢いから、数ヶ月がたった。
あの後やっぱり、天使が地上に降り立つように、少しの揺れも傾きもなく着陸したことにますます感激し、１つの前の便で、同じく広島に初フライトをしていた潤くんに、俺は興奮冷めやらぬまま、その日あったことを報告した。
「えっ？俺は？ついさっきまで、俺のフライト最高うっ！って、言ってたよな？」
と詰め寄る松岡さんをおいといて(笑)、潤くんも、“ウワサの櫻井さん”の、少し垣間見えた正体にいたく感激し、「俺も一緒に飛びてー！」と、叫んでいた。
その後めでたく、櫻井さんとのフライトが実現した潤くんは、ますます櫻井さんに傾倒し、「すげーすげー」を連発し、“目標！櫻井！”を掲げ、持ち前のストイックさを発揮して、勉強にも励んでいた。
潤くんの「すげーすげー」は、櫻井さんにだけでは、なかった。
あの日、櫻井さんと、優しく甘美な空間を作り上げていた人。ふわふわと、儚げな人。
その大野さんの醸し出す雰囲気に、何が目覚めたのかすっかり “世話役” のようになってしまい、実は先輩であることをすっかり忘れ (いや、大野さんの、年齢不詳の程も甚だしいけど(笑)) 、フライトの度に美味しそうなものをお土産に買って帰っていた。
「あの人さ、あんなふわふわしてるのに、出してくる飛行プラン、すげーのよ。」
ここはラウンジ。
櫻井さんイチオシのカフェラテを飲みながら、潤くんがニコニコして、言う。
「風速予測とかさ、残燃料に対する高度設定とかさ、マジでピンポイント。」
確かに、そうだ。
あの後俺も、櫻井さん以外の機長とフライトする際に、大野さんが担当したことがあった。
飛行ルートの話し合いは、櫻井さんとのようにツーカーとはいかなかったが、それでも大野さんが作成した飛行プランは、機長の信頼を確かに得るに相応しい見事なものだった。
本当に、何者なんだろう...
「あ。」
潤くんがラウンジ入り口を見ていた。
「大野さん！」
噂をすればなんとやら... 大野さんが、あのふわっとした空気を纏いながら、ラウンジへやって来ていた。
注文レジのお姉さんに、メニューを指差したりしながら、何やら一生懸命、注文をしている。
「そういえばあの人... 。」
熱い視線を送っていた潤くんが、ふと、言った。
「... 手話、使わないよね... 」
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櫻宮 - 大野さんの繊細な心と翔くんの強い気持ち…それを優しく見守る3人が何だか"ほっこり"して凄く好きです！mioさんのお話もっと読みたいです！！ (2019年11月7日 12時) (
レス) id: 95d5f07b44 (このIDを非表示/違反報告)
リカ(プロフ) - こんにちは。先日、旅行に行って参りました。機内から空を見ていたら、もう一度物語が読みたくなりお邪魔させていただいています。2人の物語、5人の物語、幸せな気持ちになります。 (2017年9月4日 22時) (レス) id: c3477e2eb7 (このIDを非表示/違反報告)
mio(プロフ) - 沙羅さん» 沙羅さん。コメントありがとうございます。ふあふあ大野さん、感じて頂けて嬉しいです☆これからふあふあじゃない彼も、しょーくんとの揺るぎなさも、お届け出来たらなと思います！ラストシーズンまでぜひ、お付き合い頂けたら嬉しいです(^^)よろしくお願いしますっ♪ (2015年3月18日 9時) (レス) id: b1673f9bd6 (このIDを非表示/違反報告)
沙羅(プロフ) - 大野さんのあのふあふあかん最高です！櫻井さんの過保護な感じにきゅっときますね、笑色んな関係が見え隠れしてて読むのとてもわくわくします (2015年3月17日 10時) (レス) id: ca60bde7d3 (このIDを非表示/違反報告)
mio(プロフ) - えりんこさん» えりんこさん♪お返事遅くなりすみません(;_;)ありがとうございます。嬉しいな。麗しの青さんだなんて、ほんとに嬉しいです。えりんこさんのお話の、凛とした青さんも、私大好きです！なかなかうまく表現できなくて困っていますが、また読みに来て下さったら嬉しいです (2014年11月20日 17時) (レス) id: b1673f9bd6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：mio
| 作成日時：2014年6月7日 22時
