鈴の音色 2【HQ 西谷夕】 (ページ49)

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第92話ページ49

西谷side(続き)

凛とした姿で、入口に立つ夜月さん。
体育館にいた全員の視線が移ってその姿を見た途端、誰一人として口を開けずにいた。

西「………夜月さん？」

俺の声に気づいたのか、烏野メンバーへと視線を向ける夜月さん。

『日向君。』

翔陽を見つけると呼び掛け、手に持っている物を差し出した。あれは…

日「…あ！俺のシューズ！！」

気づいた翔陽はすぐさま夜月さんのところへ走り、忘れていた物を受け取っていた。

日「ありがとうございますありがとうございます！！ほんっっとうにありがとうございます！！」

ひたすらお礼を言いながらお辞儀する翔陽。
翔陽を見つめる夜月さん。
夜月さんを見つめる全メンバー。
未だに誰一人として言葉を発することができないでいた。

田「…な、なんで夜月さんが？」

ようやく口を開いたのは龍だった。

影「あぁ、色々あって冴子姉さんと一緒にここまで見送ってくれたんっスよ。」

しれっと影山が話した。
一緒に？車でここまで来た？何のために？
色々な疑問が頭に浮かぶ。
他校のメンバーもちらほら口を開き出して耳に入ってくるのは

「すっげぇ美人…」
「ヤバくね？烏野の生徒だよな？」
「あの10番の彼女か？」
「び、びびびびび……」
「うるせぇ！」

編入してきた時と似たような台詞が飛び交う。
そりゃ初めて見る人はみんな魅了されるだろうな。
翔陽と夜月さんはまだ何か話している。ここまで聞こえないくらいの声量。
なんだ…

日「あざっす！！」

そう言うと翔陽は戻ってきたけど、夜月さんはﾁﾗｯとこちらを見ただけで去っていった。
その姿でさえ、綺麗だった…
いや待て俺！！お礼言わねぇと！！

西「大地さん！ちょっとすんません！！」

俺は咄嗟に去っていく夜月さんの後を追い掛けた。