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yb.


報せと、簡単な説明をしておいたのもあってか、両親は温かく俺と伊野尾を迎え入れてくれた。

当時(ここ)にも何度か来たことがあるらしい伊野尾のことを、母親は覚えていた。
今の彼の立場と、一緒に来るに至った経緯にひたすら驚いてたけど。


俺は伊野尾を『友達』と紹介していたらしい。
伊野尾によれば当時の二人の考えでそうしてたらしいが、素直に『恋人』と紹介していれば、10年もの間こいつを泣かせずに済んでたんじゃないか…?

「やぶ?どうかした?」

「……何でもないよ」

日常会話的なやり取りが、当たり前に出来るのが不思議なもので。

思い出していく、伊野尾といた風景。
また思い出が共有できると本人は嬉しそうだし…まぁ、いっか。




「やぶの部屋…」

「うん」

窓を大きく取ってある部屋に、彼を招き入れた。

「変わってない…」

「そ?」

「うん」

そうだよな、伊野尾は当然、この部屋も知ってるんだもんな。


「ありがとな」

「へ…?」

後ろからそっと抱き締めた。

「ずっと覚えていてくれて」

「やぶ…」

こっちを向いた伊野尾が俺を見上げる。
距離が近づき…。


「宏太ー!お茶入ったから取りにきなさーい!」

「「……………」」

突如響いた階下の大声に、あと数センチで固まる俺ら。

嘘だろぉ……?
ああもうっ!何だよこのレトロな邪魔のされ方っ。

「っく…」

「伊野尾?」

「くくく…っはは!」

いやだからさ…そんな身体折り曲げて爆笑しなくても。

「早く行ってやりな、よ」

「笑うなよー」


後で侑李にも話したら、死ぬほど笑われたんだけど。

今時そんなことあるんだね、って。

ありましたよ。まさか我が身だとは考えませんでしたけどねっ。



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夏夢(プロフ) - 黄色いうさぎさん» 黄色いうさぎさまはじめまして☺️わぁ、何度も読んで頂いてるんですね☺️ぉ、おおぅ旗部屋リピートも(恥(/▽\)キャッ)💦こちらこそありがとうございます😆励みになります💕 (2022年9月14日 12時) (レス) id: 5f3d433f1b (このIDを非表示/違反報告)
黄色いうさぎ(プロフ) - こんばんは、始めまして夏夢さん。夏夢さんの作品を定期的に読み直しています。回路…や尾行シリーズも好きです。旗部屋も😁どれも素敵なお話達、やさぐれた私の心を癒やしてもらってます。ありがとうございます (2022年9月13日 22時) (レス) id: ef1652ec47 (このIDを非表示/違反報告)
夏夢(プロフ) - ちぃちゃんさん» ちぃちゃんさま、拙話を寛ぎのお供にだなんて、恐縮でございます😆ありがとうございます(照)💕子狼くん、またお目見えしました時は遊びにきてくださいねー😊💕 (2022年5月3日 16時) (レス) id: 5f3d433f1b (このIDを非表示/違反報告)
ちぃちゃん(プロフ) - 連休で時間がたっぷりあるのでシリーズ読み返していて、「回路…」の薮伊野にキュンときました。 薮伊野大好きですが子狼くん達のお話も大好きで読み返してはやっぱり作者さんの紡ぐお話大好きだなと改めて思いました。 (2022年5月2日 20時) (レス) id: bdaf2a3994 (このIDを非表示/違反報告)
夏夢(プロフ) - ましろさん» 食べられてしまいましたねー(^-^;そうなんですよ、お話の肝なのにさくっとし過ぎてしまいまして…これは覗き見案件なんでしょーか( ̄▽ ̄;) (2021年2月19日 20時) (レス) id: 5f3d433f1b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:夏夢 | 作成日時:2020年3月20日 23時

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