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パチン。
ぱちん。
シャボン玉のように、頭の中で弾ける欠片。
制服。
学校。
サッカーボール。
口元は俺を確かに呼んでいる、顔の上半分がぼんやりしている誰か達。
ユニフォーム。
『今』より若い、父と母。
古ぼけた写真のように全てぼんやりとしたそれらの中、
夏服から冬服へ。
冬服から夏服へ。
アイスで冷えた唇。
寒さで冷たくなった唇。
しっとりと、濡れたように色付く唇。
何度も。
受験勉強の合間を縫って、触れ合った。
深く繋がりたかったけれど、それはお互いへのご褒美にして頑張って。
無事迎えた卒業式。
誰もいなくなった、夕焼けの屋上で。
初めて。
薄く開いたくちびるの先へ。
「これの何処が変態じゃねーのよ…」
静かに目を開ければ、そこは10年過ごしてる研究所内の『自室』。
寝落ちしてたのか…。
目に入る、馴染んでいる景色。今横になっているベッド、そして、カーテンの隙間から覗く朝日。
「だりぃ…」
すぐ起き上がる気になれず、天井を見つめた。
脳の表面を上滑りするように馴染まない記憶は、巡る四季と。
学校の屋上。
不意に甦る、彼の匂い。
抱き締めた時のしなやかさ…。
視覚より嗅覚、つまり『匂い』は記憶に直結すると良く言われる。
「ぁ…」
目を開くと同時に、それらは儚くも霧散してしまう。
現実には存在しない『匂い』。
それこそが。
「“記憶”…なのですか…博士」
『君は君だ。何も変わらない。それだけは覚えておくんだよ』
低く甘く、染み入るような知念博士の声が甦る。
衝動は変態じゃなく、
そしてそれは、全部彼へと…。
「なんだかなぁ…」
声の響きが見事雄也に遺伝した、彼の人を思う。
今も世界を飛び回る博士。直接お会いして是非見解を聞いてみたい。
ぼんやりと乳白色の天井を見詰めていたら、頭の中にポン、と放り込まれる言葉。
いや…浮かんだと言うべきか。
『これ…届いていたのよ』
(…この声…母さん？)
現在を揺蕩っていた中へまた。
過去の記憶が割り入った。
.
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夏夢(プロフ) - 黄色いうさぎさん» 黄色いうさぎさまはじめまして☺️わぁ、何度も読んで頂いてるんですね☺️ぉ、おおぅ旗部屋リピートも(恥(／▽＼)ｷｬｯ)💦こちらこそありがとうございます😆励みになります💕 (2022年9月14日 12時) (
レス) id: 5f3d433f1b (このIDを非表示/違反報告)
黄色いうさぎ(プロフ) - こんばんは、始めまして夏夢さん。夏夢さんの作品を定期的に読み直しています。回路…や尾行シリーズも好きです。旗部屋も😁どれも素敵なお話達、やさぐれた私の心を癒やしてもらってます。ありがとうございます (2022年9月13日 22時) (レス) id: ef1652ec47 (このIDを非表示/違反報告)
夏夢(プロフ) - ちぃちゃんさん» ちぃちゃんさま、拙話を寛ぎのお供にだなんて、恐縮でございます😆ありがとうございます(照)💕子狼くん、またお目見えしました時は遊びにきてくださいねー😊💕 (2022年5月3日 16時) (レス) id: 5f3d433f1b (このIDを非表示/違反報告)
ちぃちゃん(プロフ) - 連休で時間がたっぷりあるのでシリーズ読み返していて、「回路…」の薮伊野にキュンときました。 薮伊野大好きですが子狼くん達のお話も大好きで読み返してはやっぱり作者さんの紡ぐお話大好きだなと改めて思いました。 (2022年5月2日 20時) (レス) id: bdaf2a3994 (このIDを非表示/違反報告)
夏夢(プロフ) - ましろさん» 食べられてしまいましたねー(^-^;そうなんですよ、お話の肝なのにさくっとし過ぎてしまいまして…これは覗き見案件なんでしょーか(￣▽￣;) (2021年2月19日 20時) (レス) id: 5f3d433f1b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夏夢
| 作成日時：2020年3月20日 23時
