小さな神威くんの飼育係

新章 第30話 『すくむ足』 ページ46

外せ、そう言った神威に高杉がよせ！
と止めに入る





「あのアホの持っているスイッチのせいで
Aの首が締まる。
ヘタにそいつに手を出すな」





と言うが、そんな事お構いなしに彼は
ニコニコ顔でこう答えた







「じゃあAの事、殺せよ」







…。は？？？









『テメェェ神威！！
死ねってか！！死んでもいいってか！！？』






と神威の腕に絡みつく。
今まであたしを守ってくれていて
ちょっと見直してたけど前言撤回、







『首しまっておっちぬ前に
あたしがお前を殺してやるぅぅううううう！！』







と飛びかかろうとするが
容易に避けられてしまいあたしの顔面が
床にクリーンヒットした







「何を世迷言を…！！
…き、貴様が望むのならばやってやろう！
みておれ！！」







カチッと音と共に
あたしの首が締まり始め
息が吸えなくなる。






『ちょ、かむ…い！！！』








と苦しみ始めると
あいつは満面の笑みで
あたしを見てきた








「あ、本当に首締まるんだ。
苦しいかい？A」






『ぐっ、、！ガハッ、！』







て、てんめぇえええええ！






まじで死ぬまじでおっちぬ！！
この若さで三途の川渡っちゃう！！







と神威を思いっきり睨めば
あいつはようやく動きはじめた









「悪いなあぼう提督、
あいつをいじめていいのは
俺だけなんだよ」








その瞬間に神威は
提督の顔面をぶん殴り一発KOした








「はい、これで一件落着っと
で、いつまであんたもだえてるわけ？」






とあたしを見つめてくるので
必死にスイッチを指差すとあいつは理解したようで
やっとスイッチを切ってくれた









『はぁ…はぁ…！』







「クスッ、本当に死んじゃいそうだったね」







と笑う神威に心底殺意が湧いたので
ひとまずある程度肺に空気を送り込んだ後
怒鳴り散らしてやろうかと思ったら
高杉が何も言わずにズンズンとこちらに向かってきた








バキッ！！









「っ…！」








いきなり高杉が神威の頬を殴った









「1人の女をこんな形でしか助け出す事しか
出来ねェのかテメェ…！！」






『高杉…』






高杉に殴られ、口端から血が伝う神威、
そんな光景を見てもあたしは何も言えなかった。
いや、正しくはとてもできる状態ではなかったのだ。
初めて感じた死。それに足がガクガクと震え
それを高杉が気づいてくれたのだ

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