小さな神威くんの飼育係

新章 第28話 『首輪』 ページ44

「このチョーカーをつけることを
義務付ける。そなたがワシの側近という証だ」






と金属でできたチョーカー？
を渡されたので仕方なくそれを首につけると
ガチャンという音と共にガッチリとそれは
あたしの首に纏わり動かなくなる。






ゴールドで草花の模様がある可愛い代物だが、中央には春雨の印が付いている。
本当にこんなのが側近の証なのだろうか
と少し不安になるが、まあ一件落着ということで
考えることを辞めた






「そのチョーカーには小さなマイクが埋め込まれ
ておる、ワシの襟元の小さなマイクと電波が繋
っていてそなたがそばに居なくてもいつでも
命令がきけるようになっている。
用はトランシーバーのようなものだ」






と襟元にある小さなマイクを見せニヤリと笑った






『ふーん。まあどうでもいいけど
阿伏兎の事解放してよね
あんたの思惑通りになってあげたんだから』






とジロリと睨むと提督は満足そうに頷いた






「よかろう。あのものを解放しよう」







と提督が部屋にいる部下に命令を出そうと思った
その時、急に奥の扉が開いた








「よォ、あぼう提督
勝手にコイツを連れ出されちゃァ困るぜ」






とポンポンとあたしの頭を撫でる高杉が登場した







「…高杉よ、お前には関係のない事だ
女のその首を見よ、コレは今からワシの
側近になったのだ。そなたの物でも
神威の物でもない。ワシの、道具だ」







と上から物を言ってくる。
なんて嫌なやつ。あたしを道具としか思っていないのか、と知らずうちに拳に力が入る。
すると、高杉の手があたしの拳を優しく包み込んだ







「フンッ ……道具たァよく言えたものだな」





と高杉の声色が段々と低くなっていく、
そして彼の目がギロリと提督に向けられ
口を開いた








「俺の猫に勝手に首輪つけんじゃねェ…！」







と高杉の刀の刃が提督の顔すれすれに突き刺さった







『ちょっと？！』







やめさせようと、高杉の腕を引っ張るが
あいつはあたしに目もくれず提督に喋り出す







「よく聞け、俺が何故春雨に滞在しているか
わかってるな？遊郭に君臨する夜王とやら
に殺られたお前ら春雨の空いた穴を埋める為だ
俺たち鬼兵隊はお前らの戦力として
ここにいてやってる。お前の行動次第によっちゃ
ァ、鬼兵隊、第七師団をも敵に回す事になる
いいか、俺の気が変わらねェうちにコレを外せ」

新章 第29話 『再び』→←新章 第27話 『側近』

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す