小さな神威くんの飼育係

第14話 『間近』 ページ14

『ねえ、神威写真撮ろうよ！』




「なんで？」





と神威は怪訝な顔で私を見てくる。
そんな嫌そうな顔しなくてもいいじゃないか
なんて思いながらも神威を肩に乗せ、
スマホを向ける





『ほら、ピースして！！
いくよ！！』





パシャッ






画面に映し出された写真を見るなり
変なやつ、と神威に呟かれる






「そんなもの撮って何がいいんだよ？」





『何って、思い出を写真に撮って残すんだよ！』





と微笑む私。
すると彼は






「なんでまたいきなり...」






と眉をひそめて来たので
なんとなく撮りたくなったから、と言っといた






『神威〜今度はさあ』






「……野生の勘かよ」






『カムイ？』






いつまでも返事がない彼の方へと
振り返れば何故か神威はずっと俯いたまま。
それに不審に思いどうした？と聞いてみる
すると彼は静かに口を開いた






「A、もう少しでお別れだよ俺たち」







『え...？』









ー
ーー









聞き間違えなんかじゃないたしかに今神威は
お別れ、って言った。





『どうゆうこと、？
神威冗談でもそんな事許さないよ』






なんて言いながら苛立ってくる






お別れ？そんなの、







嫌だよ。








「この間言ったろタイムリミットがあったら、
って話。あれは嘘じゃない
俺は満月の夜に元の世界に帰らなきゃ
ならない」






じっと私を見つめる神威
あたしもなんて言ったらいいか分からない
だって、満月の夜は今日なのだから







『だって、どうやって帰るの?!』






と彼に聞くと






「ここに来る時も満月の夜だったんだ
満月の光にはあるエネルギーがあるらしい。
そのエネルギーを源に、ある発明された
機械を使って俺はここに来た。
ここに来る直前に俺の部下に頼んどいたんだ
次の満月の日に帰るようセットしとけってね」





だから俺は帰らざるを得ないんだ、
と神威は言った。






『...神威なんでこの世界に来たの』





私の声が部屋に響いた
なんでここの世界で、私の元に現れて、
なんで、、





「それは誤作動か何かかもね、
俺が行こうとしてた星はこんな所じゃない
でも、ここに来るのが分かっていたら
もう少し居ても良かったかもね」






と言う神威に
あたしは涙で視界がぼやけてくる






こんな仕打ちはない
つい数日前に流れ星に願ったばかりじゃないか。







私は神威に帰って欲しくない

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