せめて今日だけは消えないで3 ~fin~ 【ARS】 (ページ14)

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和side

和「はぁ、はぁ、速いな…」

子供だからって舐めてたけど結構速くて、なかなか追いつかない。

やっぱり体力落ちたな…

それでもしばらく追いかけると男の子も疲れてきたのか一気にペースダウン。

その隙に追いつくことができた。

和「はぁ、家、こっちのほうなの？」

ぶんぶん、と首を横に振るその子。

取り敢えずやたらめったら走ってきただけのようだ。

ぱっちりした目からはまだ涙がポロポロ零れている。

和「ほら絶対お母さん見つけるからもう泣くな」

涙を指で拭ってやるとようやく泣き止んだ。

泣き止んでくれたのは良かったのだが、

ぽつぽつ……

和「えっ、雨…」

空を見るといつの間にかどんより曇り空。

すると瞬く間に雨脚が強くなってきて、いよいよ本降りに。

子「わぁーー」

あいにくここは住宅街。

雨宿りできそうな店も近くにはない。

このまま雨に濡れ続けたらこの子は風邪をひいてしまう。

咄嗟に着ていた上着で男の子を包んだ。

これで少しはマシなはず。

早く母親を探さないと…

子どもの足で来たのならそこまで遠い場所では無いだろう。

和「知ってる場所あったら教えてね」

そう言って男の子を抱きかかえ、もう一度走り出した。