肆・神様は旦那様【QK】

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食事も運ばれてきて、
会話もぎこちない(私が)が進んでいく。

「本当はモネさんとお家にお邪魔したかったんですけど、時間合わなくて…。」
「モネちゃん、今舞台の地方公演ですもんね…
朔くんも来月からツアー始まりますし。
何箇所か行く予定です。」
「本当ですか？また楽屋に遊びに来てくださいね！」
「えっと、それはファンとしていけない気が…。」
「じゃぁ、友達として来て下さい。」

と、と、友達？！？！？
私、推しと友達になるの？

「…Aさん、その公演まだチケット取れますか？」

ムスッとした顔のままの河村くんが
私の肩に頭を乗せてくる。

あ、意外と酔ってるな？
私は自分が頼んでいた水を彼に渡し、
チケットはまだ応募してないので当たればいける事を伝える。

「僕も行きます。
朔と2人で会わせる訳にはいかないので。」
「いや、スタッフもたくさんいるよ？」
「Aさんがお前に会いに行くって言うのが面白くないの。」

どうやら、彼はずっと友人に嫉妬しているらしい。

「いや、別に来ていいけど…
拓哉アレもやる予定だけどいいの？」

アレっと朔くんが言葉にすると、
不機嫌な顔が更に不機嫌になる。

「別なのにならないの？」
「いや、アレライブの定番だから外すの難しいんだけど。」

ライブの定番…それってもしかして？

「それって『月花』ですか？」
曲名を言うと、
河村くんが酷く驚いた顔をしてコチラを見た。

「流石、Aさん。
ごめんね、ネタバレになっちゃって。」
他のセトリは教えないから、
許してっと謝る朔くん。

「え、大丈夫ですけど。
やっぱりライブの定番って言えばバラードの『月花』ですよね。」

『月花』はあるシングルのカップリングとして収録されていた曲で、
それまで比較的明るいアップテンポな曲が多かったh-sakuのイメージをガラッと変えた曲だった。

あの、しっとりと聴かせる曲が私たちファンの心を鷲掴んだのだ。
それ以降ファンが選ぶ10曲には必ずこの曲が入る。

なぜか音楽番組では披露する事ない『月花』は
ライブでしか見ることが出来ない曲なのだ。

しかし、それと河村くんに何の繋がりが？

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