肆・神様は旦那様【QK】

雑務担当のお姉さんと推し様と神様の事実2 ページ38

「Aさん、今日の夜ご飯って決まってますか？」

珍しくオフィスで一緒にランチを食べる私と河村くん。
ちなみに今日のお弁当はわかめおにぎりと卵焼き、
ウィンナーにインゲンの胡麻和え、無限ピーマン、
ミニトマト、雷こんにゃく。

私は口に入れていた、こんにゃくを飲み込み、
今日はまだ決まっていない旨を伝える。

「…イタリアン、食べに行きませんか？
気分じゃないなら断って良いので！！」
前半の言葉は渋々、後半は勢いが良いというか、
そう答えて欲しそうな口調の彼。

「イタリアン？」
カプレーゼ、カルパッチョ、フリット、
思い描いてしまったら私の口の中はイタリアン口になってしまった。

まだ返答はしていなかったが
私の顔が緩んでいたのだろう、
気持ちを察した河村くんは少し残念そうに、
美味しいお店があるので、
一緒にいきましょうと誘ってくれた。

仕事終わりの足で向かったのは、
地下にある全席個室のお店だった。

「へぇ〜、こんなところにお店あったんだ！
拓哉くん良く来るの？」
慣れたように階段を降りる彼は
「まぁ、友人と良く…」っと、
おしゃれなお店知ってるな〜っと
意外と広い彼の交友関係に関心する。

「…Aさん、実はもう1人今日一緒に
ご飯食べる奴がいるんですけど…」
「え？拓哉くんのお友達？」
「まぁ、そうなんですが、」
「私お邪魔じゃない？」

拓司や福良くんなどQKのメンバー以外と一緒に
拓哉くんとご飯を食べる第三者は初めてで、
彼の友人ともほぼ面識はない。

「…Aさんも一回会ったことあるんですよ、
なのでお邪魔じゃないですし…。」

一回会ったことがある？
数少ない彼の友達との対面を思い出す。

拓哉くんは煮え切らない態度で、
私は頭をフル回転で記憶を探りながら、
お店に入る。

店員さんに予約していた河村ですと伝えると、
既にお連れ様がお見えですと席へ案内される。

トントン

店員さんが扉をノックすると中から
「はい」っと男性の声がした。

拓哉くんがムスッとした顔で部屋に入る。
私はそれに続き、「こんばんは」っと
取り敢えず挨拶を待ち人にした。

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