肆・神様は旦那様【QK】

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「Aさん、愛されてますね。
僕嫉妬しちゃいます。」

そんな…私はこんなに褒められて良い人間なのんだろうか？
不安な顔をしてると、
後ろからひょこっと拓司が顔を出す。

「A、みんなの思いちゃんと受け止めて？」
ニカっと笑う私の好きな笑顔で笑う拓司。

「そうそう、Aさん好意的はありがたく受け止めてください。
ここにいるみんな、誰もAさんが不要なんて思ってないから。
悲しい時や辛い時は無理して笑わなくて良いんですよ？」
こうちゃんがニコニコと笑ってる。

「私、なにもできないから…。これくらいしか…。」
「そんなことないですよ、
Aさんはみんなのことをよく見て、
気を遣って…ちょっと気を遣いすぎかもしれませんが、
何者でもないAさんにしか出来ない素敵なことです。」

河村くんの言葉に、
パンっと私の中で何か弾けた気がした。

「私は、誰かの何かになれてるの？
私は、私を生きてていいの？」

「Aさんはまず僕の奥さんですし、
伊沢にとっても大切な人ですよ。
ずっと前からAさんはみんなの大事な仲間ですし、AさんはAさんです。
みんな頼りにしてるんですから。」

ポロポロと涙が落ちる。
これは悲しい涙ではなく、嬉しい涙で。
拓哉くんは優しく笑ってくれているし、
他のスタッフも拓司もみんな私に温かな笑顔を向ける。

顔色を伺って生きてきたつもりだけど、
全然見れていなかったんだ。

こんなにも世界は優しく、
私を迎え入れてくれていたことを。

「拓哉くん、世界は私をずっと見ててくれたんだね。
ありがとう、教えてくれて。
みんな、ありがとう私を見つけてくれて、ありがとう。」

私は今日新しい一歩を踏み出せた。
悲しく辛い過去も全て私を作るもだから切り捨てることはきっと出来ないけど、
私は知ったのだ、世界は「私」を私という人間を見ていてくれていることを。

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