肆・神様は旦那様【QK】

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「そんな事ないですよ、いつも助かってるんですから！
僕たちもAさんの事、助けさせてくださいよ。」
「そうそう、もっと頼み事してくださいよ。
俺たち、仲間じゃないですか。」
「ほら、こうちゃんもこう言ってますし、
今度のご飯はこうちゃんに任せましょう。」
「え？！山本さん、それは…Aさぁーん。」

突然のご飯担当にびっくりするこうちゃん。
頼ってっと言っときながら直ぐにAさんに助けを求めた。

「ふふふ、こうちゃん大丈夫だよ。
じゃぁ、今度カレー作るから玉ねぎの処理お願いしようかな？」
あと、山本くんあんまりこうちゃんの事可愛がらないの。っと笑われた。

けど、この時から何か違和感を僕たちは感じていた。


side you

｢Aさーん、Aさん？｣

…誰かに名前を呼ばれてる気がする…。

｢Aさん？もしかして、体調悪いですか？｣

｢……え！？呼んでた？ごめん、ボーっとしてた！｣

珍しいですね、っと笑ってその子は許してくれた。

大会の成功以来、
社員のみんながキラキラ輝いているように見えた。

何者にもなれないなら…

彼の言葉は私にも当てはまり、
未だに囚われている。
脱却、何者になった彼が羨ましい。

私は何者にもなれていない…
不意に腹の奥底からその感覚が上がってくる。

雑務って誰でも出来るじゃん、
私が居なくても、誰かができる仕事。

私の変わりはいくらでもいる…

あ、これ負のスパイラルに落ちるヤツだ。

また、拓哉くんにも拓司にもみんなにも迷惑かけちゃう…。

ダメだ、ダメだ、ダメだ！

私は私、目の前の仕事に集中しよう。

そう、言い聞かせて私は私を騙すことにした。
ドキドキと鼓動がいつもより早い。
睡眠時間だって、少しずつ減っていた。

知っているのだ、その騙しは続かないことを。

｢Aさーん？｣
｢ん？どうしたの、山本くん？｣

あまり動かない頭を最大限に動かし、
今日のノルマをこなして行く。

声をかけられたので、くるっと椅子ごと体を回し、
彼の方を向いた。

｢ここ、間違えてましたよ？
あと、マグカップずっとキッチンにありましたけど…
コーヒー冷めちゃいますよ？｣

｢あ、ご、ごめーん！うわぁー、凡ミス！
コーヒー…トイレ行ったら忘れてた…。｣

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