肆・神様は旦那様【QK】

雑務担当のお姉さんとドライブ ページ2

【月1連載】雑務担当のお姉さんコラム

「神様は旦那様」


第5回｢神様と海｣

タイトルを見る限り｢モーゼ｣を思い出してしまうのは、
私だけではないはずだ。

さて、意外かもしれないが私たち夫婦は、
数ヶ月に1度海を見に行く。

海無し県出身の神様と、海に縁がなかった私。

内陸に住んでいたからか、海には少し憧れがある。
電車を乗り継いで…ではなく、
レンタカーで私たちは海へ向かう。

運転するのは私で、
神様は助手席でゆったりと過ぎ去る景色、
風を楽しんでいる。

決まった場所はなく、漠然と海の方へ向かう。
海で泳ぐ訳でもなくて、2人でただ海を眺める。

喉が渇いたね、っとどちらかが言えば、
近くにあるお店を探す。

この前行ったカフェはテラス席もある素敵なカフェだった。

陽射しが強かったので、暑さにやられた神様は、
テラスではなく、室内の奥の方へ向かった。

店内からテラスと海を一望できる席。

テラス席には、初々しいカップルや、友達で来ている若い女の子が多く感じる。

海や空のキラキラと相まって、
更にキラキラしているように感じていると、

｢あっちに座りたかった？｣
神様が不安そうにこちらを見る。

そんなことは無いと、
答えれば少し安心そうにコーヒーに口をつけた。

一休みを終え、今度は砂浜を歩いてみる。

歩きなれない柔らかさに、
2人して悪戦苦闘する姿は滑稽だろう。

｢海の上を歩けたら気持ちいいかな？｣

｢…上も歩いてみたいけど、
僕は割って海の生物を見てみたいな。｣

水族館みたいにっと、笑う神様…。

やっぱり彼はモーゼらしい。

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