４０億の時の針

時・43 ページ45

拓斗はあからさまに 太輔たちを敵対してる。



とくに 太輔を…



私が想いを抱いていることを知ってるから… でも、もう…



心は 決めてる。




「じゃあ、金 出す… 」


「出せばいいと思ってるんだよねぇ〜、やだやだ これだから芸能人ってのは」



！！



「た、拓斗！！」


「本当にいいんです、大根は貰い物ですし… 」



も〜〜！！敵対し過ぎ〜〜〜！！


大家さんからの貰い物って知ってるくせに〜〜〜！！



「でも、Aちゃん、お米とか調味料はお金かかってるでしょう？」


「いいんです、いいんです、私がご迷惑かけたんですから」



もらったらバチが当たるわ！



「でも、それじゃ… 」


「美味しいって言ってくれただけで 満足です」



渉は申し訳なさそうにしてたけど 本当にもういいの。


これ以上望んではいけない。太輔への想いが膨らんでしまうから。



だから 今日で…



終わりにする…



「はい！どうぞ！藤川様！」


「え、うん、ありがと」



二人は作ったものを全部綺麗に食べてくれた。


そして 私が支度してる間 二人は後片付けまでしてくれた。



「じゃあ、散歩行こう」


「拓斗、気をつけて帰るんだよ」



また しばらくのお別れ。


太輔たちとも…



「へ〜、良い公園」


「だろ？また 全然 俺らに気づかないところがいい」



３人で公園を散歩。



人目を気にせず 太輔の横にいられる幸せ…



でも、これが最後…



「じゃ…、私… 仕事に行きますね」


「うん、じゃあ また 明日ね」



太輔が笑顔で手を振る。



涙が出そうになるのを グッと堪え手を振る。



サヨナラ… 太輔…



本当にありがと… 幸せな時間でした。



翌日から 出勤時間を３０分ずらした。



… まったく 会わなくなった。



出勤通学のラッシュ時に現れるわけない… そう高を括っていた。



でも、… 違った…



「鍵、掛けて… よし、OK」


「やっぱ、３０分前かよ」




… え… ？




！！




「な、何で… 」



「それは こっちのセリフ、何で避ける？」




ドクン…




ドクン…




「さ、避けてなんか… 」


「いるだろーが」




だ、ダメ…




膨らまないで…




ドキドキしちゃダメ…




なのに 太輔はどんどん私に近づく。




離れなくちゃいけないのに 全然 足が言うこと聞いてくれない。





ドクン…





ドクン…





…





とうとう目の前まで来て… しまった。

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