４０億の時の針

時・21 ページ23

● 渉・side ●

ここ、１ヵ月… 太輔の様子が変だった。


元気がないと言うか… つまんなさそうと言うか…


でも… 最近、どこか考えてる様子の太輔。


玉から話を聴けば 車を買うかどうか悩んでるっぽい。


パンフレットをジッと眺めては ため息をついてるのは見たことはある。


でも ここ ２、３日はため息はなく、パンフレットも見てない。


時折 一人でニヤニヤ？いや… 『 ふふふっ〜♪ 』と笑っている。


若干 気持ち悪い…


一体 何があったのか よくわからないが、昨日 嬉しそうに事務所に来た。


紙袋をわくわくしながら 覗き込む太輔…


俺も気になり、その後ろから覗き込んだ。


数種類のお菓子… なんか 手作りっぽい… ？


美味しそうだったから つい、食べたくなり 要求。渋々半分くれた。


そして 食べて驚く…



― 『 すげぇ 旨い 』 ―



本当に美味しい…


自分が作るよりも 数段格上のお菓子たち。


どこの店かと尋ねると慌て始めた太輔。


怪しいと判断。


根掘り葉掘り聞くと、後ろめたいことがあるのか 取り繕うように話てくれた。



そう…



目の前にいる この子が後ろめたいさの原因。



吉田さん。



髪はセミロングのストレート… 色素が薄いのか茶色。肌の色も白人に近いほど白い。


ふんわりとした優しい感じの子。


でも、痩せすぎ… ディラーの制服がダブダブ… まるで栄養失調ぽく見える。


栄養状態が良いなら かなりの美人だと思う。


でも、この顔… どこかで見たことあるなぁ… 気のせいだろうか？



「初めまして 横尾 渉です」



手を差し出すと お目目をぱちくりぱちくり。


驚いてるっぽい。



「ほ、ほら あのアイドルのだよ！お前 知らないのか？」


「Kis-My-Ft2の横尾です」



ようやく わかったのか 手を出してくれた。


うわ… 細！つか、綺麗…



「よ、吉田 Aです、初めまして」


「Aちゃんって言うんだね、可愛いお名前」



真っ赤になる 吉田さん。



マジ、可愛いかも…



「わ！ワタ！手！いつまで握ってんだよ！！」


「え？あ、ああ… 」



何？この慌てようは…



「ごめんね、吉田さん」



何がごめん？握手しただけだろうが…



「いえ、ただ びっくりしてしまって… 」


「本当に ごめんね」



やっぱり…




太輔が変だ…




こんな太輔は 初めてかも…




嬉しそうな二人…




う〜ん、これは どうしたらいい？

時・22→←時・20

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す