過去と今と未来と (ページ37)

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阿部はこのままだと自分が駄目になると分かっていた
ただそれを分かっていても一度感じてしまったプレッシャーは消えず、学校ではずっと、作り上げた姿の阿部だった

作り上げた阿部は人間味がないわけではない
寧ろ怖いぐらいに人間関係を上手くやり、成績は前よりも良くなる勢いだった
その分、家に帰ると感情のないロボットのようになっていたのである

もう取り返しのつかないくらいに、阿部の作り上げた姿は成長していた
その姿で新しい人間関係を作ってしまい阿部本来の姿を出す事が難しくなっていった
それに比例し、家での阿部も変わっていた

精神科でどうにかしてもらうよりも自分でなんとかしなければ、と阿部は考えていた
多重人格なのでは、？なんて言い出す医者もいた

違う、そんな事はない
全て自分の記憶としてあるし、きっとしようと思えば本来の自分も出すことができる

そんな思いから、家では時々本来の阿部が出てくるようになった
それが余計に多重人格なのではと家族の不安を煽った
怖い、そう思った誰かの一瞬の感情を精神が不安定で敏感になっていた阿部は感じてしまった

「......俺って迷惑、？俺、怖いの？」

家族は必死に否定した
しかし、阿部にはその必死さが自分を否定しているように見えてしまい、より精神状態が不安定になって入院するまでになってしまった

本来の阿部はそこからまた消えてしまった
再び本来の姿が戻るまで、いや戻ってからも、作り上げた姿とその分感情のない姿は
ずっと阿部から消えなかった

時が経つと阿部は本当の自分がどれだか分からなくなっていた
そこから数年間の間

阿部は自分の姿を見失い偽りの姿は阿部を縛り付けた