過去と今と未来と (ページ27)

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段々と出血量も増えてきて明らかに顔色が悪くなっていき、身体を支えていると力が抜けていくのが分かる

「なあ、照、俺さ...楽しかった」
「なんだよそれ、」

友人は手を伸ばして岩本の手を弱い力で握った
それを岩本が力強く握り返すと友人は笑った

「笑って、よ、俺...照の笑顔、みたい」
「そんなこと言ったって、お前、」

握った手が冷たい事に気づいて、更に焦っていると友人はそう言った

少しだけ口角を上げていたから
「何だよそれ」
と言って岩本は笑った

ありがとう、と小さく聞こえ友人の顔を見れば
目を閉じていた

「おい、！目開けろ！返事してくれ！！」

必死に呼びかけるが何の反応もなかった

その後すぐに医者が来て友人の事を診たが、医者は首を振った

岩本は放心状態にあった

追い討ちをかけるように
「あと少し早ければ」
と医者が呟いたのだ

俺が、早く医者を呼んでいたら、助かった...？

その考えがずっと岩本に離れずにいた
その後、病院に検査入院したものの、異常はなく岩本はすぐに退院した

その後数年は、天候が悪くなると必ず意図せず涙が流れていた

誰も、岩本を責めなかった
友人の親は
「最期にあなたがそばにいてくれてありがとう」

と言われた

その場は俯いてやり過ごしたが、俺が、俺が...早く呼んでいれば、俺は見殺しにした...
その考えが一人になった時に蘇るそんな日々が続いた

岩本は友人に依存していた
友人はその事を知っていたが、最期まで依存していることを話さなかった

岩本は自分が友人に依存していることを知らなかった
だからこそ見殺しにした、という考えが消えず、岩本を苦しめた

気づいてはいなかったが依存していた
岩本の生きる意味は、友人の彼にあった

つまり、友人の彼が居なくなってしまったことで

岩本は生きる意味を失くしてしまった