Iris【柿原徹也】

44 ページ45

.



水族館内にとあるアナウンスが流れた



『東京都からお越しの柿原徹也様、お連れ様が迷子センターでお待ちです。至急お越しくださいませ。繰り返します＿＿＿』



なんていう内容のアナウンスに恥ずかしくて顔を両手で覆うと親とはぐれて迷子になったのであろう子供たちが頭をヨシヨシと撫でてくれた



「お姉ちゃん元気だして！」

「そうだよママもパパもきっとすぐ見つかるよ！」

貴方「皆…ありがとう〜！」

柿原「おいおい笑」

貴方「！社長〜！！」



声がして顔を上げると子供に慰められてる私を呆れたように笑っている社長がいて立ち上がった



柿原「お前なぁ〜笑」

貴方「もう！遅いですよ！」

柿原「なんでお前が怒ってんだよ笑 ったく…笑」



係員さんにお礼を言い子供たちに見送られながら社長と迷子センターを後にした
社長の後に続いてプラプラと歩いているとさっきから声を押し殺して肩を震わしている社長に声を上げた



貴方「もう！いつまで笑ってるんですか！」

柿原「だってよ…笑 20歳を超えた大の大人が迷子になった上に子供に励まされてんの見たら誰だって…笑」

貴方「ふん！どうせ私は子供ですよ！」



いつまでもお腹を抱えて笑っている社長に怒ってドスドスと大股で歩くと突然手を握られ振り向いた



柿原「これならもうはぐれないだろ」

貴方「社長…っ」

柿原「ほら行くぞ」



私の手を引いて歩く社長の指先から伝わる体温に自分の体温が上昇していくのがわかった
少しの戸惑いの後、勇気を振り絞り手を握り返すとそれに応えるかのようにまた握り返された

これは期待していいんですか。



.

45→←43

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す