心の氷２〜愛され魔導士は最強美女〜

６５度 ページ25

んー。何だか地面がガタガタ揺れる。何でだろう。


「…ん？」


Aは騒がしい外にゆっくりと目を開けた。すると真っ先に流れていく景色が見えた。どうやら魔導四輪に乗っているんだろう。そして周りには何故かだれも見当たらなかった。
魔導四輪を動かしてるのは誰だろう？そう思い運転席を見た。


「…あれ？あなたカゲ…だっけ？」

「なっ！なんでハエが！！？」


カゲはAの存在に気がつかなかったらしく驚き声を上げる。そしてAの目に飛び込んできたのはララバイ。それを見た瞬間。一気に眉が顰められた。


「なぜあなたがそれを持って…」

グッ！！

「っ！？」


するとカゲが魔法を使いAを拘束した。突然のことに驚きを隠せない。


「あのエリゴールさんに無傷で勝ったんだ。俺なら一瞬だが…拘束しちまえばこっちのもんだ。」

「…マスターの命を奪ったって未来は変わらない。権力なんて得たって何の慰めにだってならないわ。過去はどう足掻いたって、戻ることなんてできないんだから。」

「っ…」

「思い出に縋ることは、悪い事ではない。でも過去に囚われ、復讐に身を燃やし過ちを繰り返す事が愚かだと、貴方は気が付いているはずよ。」

「うるさいっ！！」

ガンッ！！


カゲはAを魔法を使って殴った。額に強い痛みを感じるが我慢できる。
そしてカゲはAが話せないように口も拘束した。
額から頬を赤い液体が伝いながらもAはカゲの背中を切なそうに見つめていた。

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