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「はぁ……」
深いため息をついて窓の外を眺める。
一向にやむ気配がない雨の音が、五月蝿いほどに存在感を放っていた。
「……また今度行けばいいじゃねぇか」
隣の快斗はそう言ってソファに寝転がった。
「トロピカルランド、楽しみにしてたのにな」
「まぁ、お家デートもいいんじゃねぇの」
そう、今日は快斗との初デートでトロピカルランドに遊びに行く予定だったのだ。
しかし生憎の雨と雷でランドは休み。
予定が無くなって、今は快斗の家で絶賛お家デート中だ。
「そういえば……快斗はどうしてキッドをやっているの?」
ふと、そんな質問をした。
快斗に告白された日……あの日からずっと気になっていたことだ。
「それは……親父の仇っていうか……」
「仇?」
「……ああ。八年前、親父がマジックショーの最中に事故死と見せかけて殺されたんだ」
八年前という言葉に心臓がドクンと波打つ。
私の両親が死んだのも、たしかその頃。
「どうやら親父の死は、"パンドラ"が関係しているらしいんだ」
"パンドラ"
数あるビッグジュエルの中の一つにあるとされており、それを持つ者が不老不死の力を持つことができると言われている。
パンドラを見つける唯一の方法は、月にビッグジュエルをかざすこと。
────────……なんで知っているのだろうか。
"パンドラ"なんて馴染みのない言葉、そうそう聞くことがないはずだ。
「A?どうしたんだ?さっきからボーッとしてるぞ」
快斗の声も聞き入れず、私は記憶の欠片を探す。
その中にひとつ、キラリと輝くピースを見つけた気がした。
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もっさ(プロフ) - めっちゃめっちゃおもろかったです!更新楽しみにしてます!! (2019年11月29日 17時) (レス) id: 487c093ca1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:華美 | 作成日時:2019年6月23日 19時