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「少し待っててね。」
幸村が、その場を離れた。
それを見計らうように、切原はコートから飛び出す。
「おい!」
切原の声に、虚ろなAの肩がびくりと震えた。Aの反応を待たずして、切原はその腕を掴み走り出す。
「!?ちょ……!」
「いいから!」
振り解けないほどの力でAの腕を引く。向かった先は、今までAが踏み入れようともしなかった、学校の校舎。
「あんた馬鹿だろっ……何騙されてんだよっ……何忘れてんだよ……!」
「何、言って……」
「いい加減目ぇ覚ませよ!」
力強く、校舎の扉を開く。
「思い出せ!ここが何なのか!俺らが何なのか!でないとあんたも、こいつらの仲間になっちまうんだぞ!?」
「……っ!?」
開いた扉。流れ込む、吐きそうなむわっとした臭い。
こつ、とAの爪先に触れた、白いソレ。薄暗い校舎に散らばる、肉片と破れ廃れた服。
Aが目にした光景。それは……視界いっぱいに広がる、人間の骨が散乱した光景。
途端に、それが起爆剤になったかのように、Aの脳内に次々と記憶が蘇り始めた。
あの駅は。この学校は。彼らは。ここは。
……ここは、海底学校。
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I like choco - 面白すぎます!心臓バクバクいってるんですけどどうしたらいいですか? (2020年6月28日 20時) (レス) id: 46acbe60c7 (このIDを非表示/違反報告)
白夜 - 海底学校・・・行ってみたい(*´▽`*) (2017年6月9日 19時) (レス) id: baf811e79e (このIDを非表示/違反報告)
ゆっきー - これ素敵です!! (2017年1月30日 0時) (レス) id: c6154ab521 (このIDを非表示/違反報告)
幻想曲(プロフ) - まゆさん» ダメですよ帰れなくなっちゃいますよ!! (2015年10月17日 23時) (レス) id: 1deaa07922 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - うー....でも仁王君ドンッってされてみたいです....w (2015年10月17日 22時) (レス) id: 8478a5faa8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:幻想曲 | 作者ホームページ:http://uranai.amanoboru
作成日時:2015年9月22日 22時