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「……あのさ。」
あくる日。フェンスの外にひとり立つAに、ついに切原が声をかけた。
ワンテンポ遅れて、Aが振り向く。切原は訳もなく気づかれないように拳を握り、ぶっきらぼうな口調でAに向かった。
「あんたさ。何なの。毎日毎日ここきて。」
「な……べ、別に来たくてきてるわけじゃ!」
(知ってる。)
ここの秘密なんて、あらかた知っている。
Aが意図せずともここへやってくるのは、彼の……幸村のせいであることも。
「気づかねえの。」
「何がっ……」
「ここ、なんか変だって。気づかねえの。」
「変、って……」
「だって普通考えたらおかしいだろ。何回も何回もここ来てんのに……それなのに、俺ら8人しか姿がない。こんな広いとこに、8人だけ……」
「……!」
Aの表情が、変わる。
よし、いいぞ、このまま気づけ。
そのまま、正気に。
しかし。
「赤也?女の子とお喋りなんて、いい身分だね。」
切原の方が、大きく跳ね上がる。
切原の思惑を断ち切ったのは、紛れもない、あの柔らかな……そして、どこか恐ろしげを含んだような、幸村の声。
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I like choco - 面白すぎます!心臓バクバクいってるんですけどどうしたらいいですか? (2020年6月28日 20時) (レス) id: 46acbe60c7 (このIDを非表示/違反報告)
白夜 - 海底学校・・・行ってみたい(*´▽`*) (2017年6月9日 19時) (レス) id: baf811e79e (このIDを非表示/違反報告)
ゆっきー - これ素敵です!! (2017年1月30日 0時) (レス) id: c6154ab521 (このIDを非表示/違反報告)
幻想曲(プロフ) - まゆさん» ダメですよ帰れなくなっちゃいますよ!! (2015年10月17日 23時) (レス) id: 1deaa07922 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - うー....でも仁王君ドンッってされてみたいです....w (2015年10月17日 22時) (レス) id: 8478a5faa8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:幻想曲 | 作者ホームページ:http://uranai.amanoboru
作成日時:2015年9月22日 22時