●26● ページ27
.
.
「赤也、俺たちは向こうのコートだ。……赤也?」
幸村が去った後。ぼんやりとする切原に、柳が声をかけた。
「……柳さん、」
「どうしたんだ、ぼんやりとして。早く行くぞ。」
「……すみません。ちょっと先行っててもらっていいですか。俺、幸村部長に用があるんで。」
「精市に?……わかった。だが、すぐに戻ってくるようにな。お前用の練習メニューを組んであるんだ、せっかくの全国だしな……今年もまた勝とう、赤也。」
「…………、そうですね。」
優しく微笑む柳に気づかれないように、ポケットの中で拳を握る。切原は逃げるようにコートから飛び出した。
「のうやーぎゅ。」
隣のコートに立つのは、仁王と柳生。思わず切原の耳が、二人の会話に傾く。
「残念じゃの、全国もおまんとダブルスを組みたかったんじゃが。」
「面白がっているだけでしょう貴方は。まったく……」
「……やーぎゅ。」
「なんですか。」
「いつになったら、全国の日が来るんかのう?」
「……そのうち来ますよ。」
「そうだぜ、何言ってんだよ仁王!」
二人の声に、もう二人。丸井と、ジャッカルの声が加わる。
「お前どうせ練習きっついからんなこというんだろぃ?ま、頑張れよ!終わったら打ち上げ行こうぜぃ!奢ってやるよ、ジャッカルが!」
「俺かよ!……って、それより。早く練習しようぜ、真田に叱られちまう。」
「そうですね。ほら行きますよ仁王くん……」
「……っ。」
仁王も気づいているのだろうか。いや、多分気づいていないだろう。
切原はふいとコートから目を背けて幸村を探す。そうして、部室前で真田と話す幸村を、そっと呼び出したのだった。
「幸村部長、ちょっといいっすか……」
108人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
I like choco - 面白すぎます!心臓バクバクいってるんですけどどうしたらいいですか? (2020年6月28日 20時) (レス) id: 46acbe60c7 (このIDを非表示/違反報告)
白夜 - 海底学校・・・行ってみたい(*´▽`*) (2017年6月9日 19時) (レス) id: baf811e79e (このIDを非表示/違反報告)
ゆっきー - これ素敵です!! (2017年1月30日 0時) (レス) id: c6154ab521 (このIDを非表示/違反報告)
幻想曲(プロフ) - まゆさん» ダメですよ帰れなくなっちゃいますよ!! (2015年10月17日 23時) (レス) id: 1deaa07922 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - うー....でも仁王君ドンッってされてみたいです....w (2015年10月17日 22時) (レス) id: 8478a5faa8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:幻想曲 | 作者ホームページ:http://uranai.amanoboru
作成日時:2015年9月22日 22時