快晴を翔ける (ページ3)

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斑雪ページ3

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「トリイノゾム」

放課後。
あまりの聞き覚えのなさに日直日誌の最後のページに貼られたクラスの名簿を指でなぞる。鷹宮、と自分の名前を見つけそこから数段下に記載された鳥井希の文字に指が止まる。ルビにはトリイノゾムと書かれ今朝の彼がこのトリイノゾムくんであることが分かった。けれど。

「クラスメイトの顔と名前は覚えてた筈やけど」

学級委員という肩書きゆえに、喋りはしなくともクラスメイトの顔と名前は全て一致させて覚えていた。というのも、うちのクラスは所謂問題児クラスなのだ。
今までの2年間で何かと問題を起こしたり、校則違反が多かったり、そんな生徒を一括で指導する為のクラス。私はそれのお目付け役として派遣されているわけでクラスメイトの顔と名前は必須事項だった。

それなのに、彼は顔も見覚えが無ければ名前さえ聞いたことがない。パーカーを着てくる生徒は何人か居るけど、あんな鮮やかな緑のパーカーを着ていて覚えていないわけがない。

トリイノゾムくん。
一日掛けて彼を観察していたけれど周りの生徒達はまるで最初から居たかのように接していて、私だけが彼の存在に疑問を持っているだけだった。

一体彼は何者なのか。

【斑雪(はだれゆき)】
うっすらと降った雪。