快晴を翔ける (ページ12)

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天翔けページ12

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彼と私を包む錆色のそれはゆっくりと広げられその姿を鮮明に現した。トリイくんの背から伸びる私よりも大きなそれはふわりと風に乗って揺れる。

それはまるで、鷹のような。

斑に点を打った模様が全体に広がり、光によっては青銅のような色に変わるその翼は、まさしくこの超常現象を経て尚人であると認識していた彼が人ではないことをありありと物語っていた。

「ここじゃ邪魔されるかもしれないしな。舌噛むから口閉じとくんやで」

軽々と私を抱き上げたトリイくんは私の身体を更に自身に寄せると、大きな羽音、というよりもはや風を切る音が耳に届く。彼の翼が空気を蹴ると、凄まじい風に当たりながら大海へ潜っていく。

空を裂いて学校が随分小さく見える場所まで到達すると、彼は落ちひんから立ってみ、と私を空に降ろした。足元には何も無いのに、透明の板でもあるかのように私の身体は空の上で直立した。

「トリイくん…は、一体、」
「あぁ、言ってなかったか。俺はAの家の守護神や」

軽い調子に答えられたそれは、全く理解の追いつかない範囲で。空に立つ私の前をふわりと浮かんで胡座をかいた彼はAが心配で降りてきてもうたんよ、と先程の冷たさを感じさせないような朗らかな笑みを浮かべていた。

【天翔(あまか)け】
天を翔ける。