67 ｢…っ…さ、…せて、｣ ページ17
……
電話向こうの部署で鳴っていた警戒音が止まった。
｢はあっ、…はっ、はぁ、っ、｣
｢主、｣
はっ、は、と浅い呼吸を激しく繰り返しながら、三日月殿に抱きとめられ、動揺しているその方を見上げる。
(…無理も、ない、が…しかし、)
危なかった。ほんとうに、危なかった。
この方はやはり、前の審神者と中身は違えど、巨大な霊力は、そのまま保持している。あのままいれば、…この本丸ごと、今頃、どうなっていたことか、
それに加え、
(…一体、あれは、)
ちりん、と喉元の鈴を鳴らし、今や俯いて微動だにしない五虎退の方を見る。激しく胸が痛むその姿。
彼が……、人に戻っている。しかし、一度刀になった男士が体を持つことなど、できるはずが
(それ程の、霊力なのか、)
その力の予想し得ない大きさと、動揺の次第で爆発しかねない不安定さにぞっとしながら、視線を戻す。三日月殿がその方に語りかけ続けている。
｢主、息をしなければ、そなたが死んでしまう｣
｢っは、は、ぁ、はあっ、…っ！｣
｢……ゆっくりでよい。少しずつ、｣
私からの信号情報が伝わっているのか、あれだけ騒いでいた役人達も今や、静まり返っている。五虎退の状態、三日月殿の態度、そしてこの方の霊力の大きさ…全てにおいて、“追放”等、軽率な処理をするには、検討せねばならない問題が新たに発生し過ぎている。
｢…っはあ、…！っな……て、っは、｣
｢…？｣
｢な、…っはっあ、…さなきゃ、｣
｢主…？｣
喉を震わせながら、その方が、ぎゅっと三日月殿の装束を握りしめ、こう言った。
｢…なお、…させて…！｣
荒い呼吸のまま、強くつぶった目から涙を幾筋も零し、絞り出したその方の言葉に、体が、固まった。
その方がばっと顔を上げ、目を見開いている三日月殿に縋りつき、何度も、何度も繰り返す、
｢治させて…ください、！彼を、五虎退さんを、｣
｢、…主、｣
｢なおさなきゃ、…！お願いします、おねが、…！｣
ぼろぼろと零れている涙を拭うことも無しに、ただただ懇願するその方の姿に、言葉が出なかった。
｢出来ませんか…、！？確か、手入れ、って、昨日読んだ本に、書いてあって、｣
｢…｣
｢、教えてください、…！｣
＿＿＿＿＿こんのすけ、
血塗れになり、全てを失い、倒れている五虎退と、その横にいる肉体を捨ててしまった兄、…一期一振を見、私の脳裏には彼と交わした会話が蘇っていた。
｢お願いします…っ！｣
68 ｢構いません｣→←66 (イレギュラー報告 no.18638)
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鳥(プロフ) - 読者様 一つ一つにお返し出来ずすみません！コメントありがとうございます！(三)についてですが、推敲が終わったところから随時公開しております！またお時間空いたり思い出して頂けた時に読んでもらえたら嬉しいです。遅筆ですが楽しんで書いております (7月7日 10時) (
レス) id: 4bf57b87a0 (このIDを非表示/違反報告)
yura(プロフ) - 初めまして！一気に見させていただきました。とても面白いです！そして続きが気になります。パスワードおしえていただけないでしょうか？ (6月18日 13時) (レス) @page50 id: 673a00a1b4 (このIDを非表示/違反報告)
ユナ＠前垢消えた(プロフ) - 続き楽しみにしてます！！！！！ (2023年4月28日 13時) (レス) @page50 id: 0e552ce067 (このIDを非表示/違反報告)
テオ(プロフ) - 初めまして、コメント失礼します。ここまで読ませていただき本当に面白いと感じました。表現の仕方がとても好きでストーリーも最高です。推敲が終わるのをとても楽しみにしています。無理のない程度で頑張ってください💪 (2023年4月27日 14時) (レス) id: 85b09c3093 (このIDを非表示/違反報告)
クロ - 始めまして！クロです凄く面白くて続きが気になるのでパスワード教えてくださいm(._.)m (2023年3月30日 1時) (レス) @page50 id: 16daf975b9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鳥 | 作成日時：2020年2月24日 20時
