ある兄弟の物語 4 (ページ38)

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雅紀side

雅「…トイレ」

あれ、流星いないや。
てっきり俺と一緒に寝てると思ってたのに。

雅「ふぅ…流星？どこ？」

リビングでゲームでもしてんのかな？

雅「流星？いない」

でも電源のついたままのゲームあるし外？

雅「靴ないじゃん…もうどこ行ったんだよ…庭か？」

リビングの窓から庭に出てみる。

雅「流星〜？いないの？」

まさか…あの女の人…？
ど、どうしよ…俺のせいだ…俺が寝ちゃったから…。
探しに行かなきゃ！！

ｶﾞﾁｬ

崇「うぉ…びっくりした。
　お前風邪なんにどこ行くねん」

雅「流星がっ…流星がいないんだ！靴がなくて…！
　俺が寝ちゃって1人にしたから…泣」

崇「はぁ！？流星おらんの！？
　留守番頼んでてん、流星に。

　俺、探しに行くからお前はここにおれ」

雅「嫌だ！！俺が行く！どいて！」

崇「おいこら！待てや！」

大事な弟なのに待っとくなんてできるわけないじゃん！
危ない目にあったらどうしよ！

雅「流星！！流星どこ！？」

1人で探そうとしてもどこに行ったか分からないから
どうしようもないや…。

もしかしたら大人の人が見てるかな…。
話しかけるなんて怖いけど…流星のためだから。

雅「あ、あの！流星って子見ませんでしたか？
　俺より小さくて青の靴と黒の服を着た」

「あぁ、確かそんな格好の男の子が女の人とあっちに
　歩いて行ったのを見た気がする」

雅「ほんとですか！？ありがとうございます！！」

よかった、優しい人だった。

それからも何人かに聞いたんだけど、全員優しい人で。
俺が今まで会ったイジワルな大人とは大違い。

雅「あ…流星だ！流星！！流星！！」

流「ん？あ、にーに！
　アカンやん、ちゃんと寝とかな」

アカンやんってこっちのセリフだし！
……あ！！コイツ…！！

雅「ちょっと、流星に何の用？何で連れてくのさ」

女「道案内してもらおうと思っただけよ」

雅「嘘つけ！！今更俺らの前に出てきて！！
　流星！帰るよ！」

流星の腕を引っ張ったんだけど逆に引っ張られる感覚。

流「アカン、おばさんに道案内頼まれたんやもん。
　ええことしてのんちゃんに褒めてもらうんや！」

そっか…流星はお母さんの顔を知らないから…。
もしかしたらいたこと自体覚えてないかもしれないし。

どうやって説得すればいいんだよ…。