第29話 ページ30
昨日と同じ帰り道を、昨日と同じように歩く最中、私は花君に今日1日言いたかったことを伝えた。
私の話を無表情で聞いて、しばらく黙ったあと、乾いた笑みを零した。
『はっ、それは凄い歓迎されてるね。』
若武の伝言を、実にあっけらかんと流した花君。
焦る様子なんて全くなく、最初っから結果がわかっていたような反応だった。
「もう！そんなわけないじゃん。みんな警戒心むき出しだよ、多分相当信頼されないと一員になれないかも。」
『大丈夫。俺そういうの得意だから。』
どこからそんな自信が生まれるのか、
不安がるどころか、楽しんでいる風にも見える花君を横目に、ちっちゃなため息をつく。
「でも、活動するためには秀明に入ってないと何かと不便だよ？親御さんとかに相談してみたらいいんじゃない。爽君もいる事だし。」
だいぶ前にも思ったのだが、秀明に入ってないということはめちゃくちゃ大きい重荷になる。違う塾から来ている翼は、時間帯がズレたりして色々大変だし、そもそも塾にすら通ってないらしい花君は、秀明に入れてもらえかどうかも怪しい。
歩きながら何気なく聞いたのだが、いつの間にか花君が止まっていたようで私だけが進んでいる状態になってしまっていた。
振り返ると、俯き、あの時のように顔が前髪によって全く見えなくなった花君がいた。
『どこ……った。』
「え？」
『どこであったって聞いてんだよ！！！！！』
いきなりの叫び声と共に、思い切り両腕を掴まれる。
それと同時にあった目が、いつもは赤黒いのに、今は真っ赤になっていた。
こ、怖い、、
本能的な恐怖に、足がすくんだ私は声も出せずに固まっていた。
蛇に睨まれたカエルとはこのことだろう。
こうしてる間にも、だんだんと花君の手に力が入り、腕が悲鳴を上げていた。
「い、痛い！！！花君！！！」
耐えられなくなった私は、勢いよく手を振り払った。
『あっ、ご、ごめん彩。俺、俺、』
やっと我に返った花君の元に戻った瞳が、私の目線と絡まり合う。
いつものムカつくくらい無表情で、恐ろしいくらい整った顔に一筋の涙が流れた。
『ごめん、ほんとに、ごめん。彩、怖がらないで。』
縋るような眼差しでこちらを見つめる花君。
かなり動揺してるのか、私に手を伸ばしては縮め、また伸ばしては助けてと言えないでいる。
素直になればいいのに。
あぁ！もう！
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ナナ - とても面白かったです!!早く続きが読みたいです！！ (2月9日 8時) (
レス) @page44 id: abf6832c1a (このIDを非表示/違反報告)
悪役ですが何か？(プロフ) - 花君と翼の絡み、すっごい良かったです！！あなたは、神か！？ (2023年4月8日 6時) (レス) @page44 id: 80363cd358 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - はじめまして！いつも読ませていただいています。すごく素敵な作品でした。更新お待ちしています。 (2021年4月2日 15時) (レス) id: 7efce59d5b (このIDを非表示/違反報告)
ねね - 花君が誰か分かったとき、あの時のカラス！！といっていて面白かったですwwそれと花君が言っていた「あのムカつくマスク野郎もいたけど、」のとこも面白かったし、第39話の若武？かな？が「うえっほん、それで、続きを話してくれ」のうえっほん！が一番面白かったですww (2021年4月1日 21時) (レス) id: 1efb73ea53 (このIDを非表示/違反報告)
ニコニコ(プロフ) - 未胡成@定期的に病むさん» ある意味危ない展開になってしまった、、。翼を動揺ってなるとこれしか思いつかなかった、笑 (2020年4月28日 9時) (レス) id: 1c8e88b554 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ニコニコ | 作成日時：2018年8月17日 0時
