最後の雨

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「いっぱい幸せをくれて有難う。


　大好きだよ。」



これで最後と自分に言い聞かせて
控えめにゆうたくんを抱きしめる。

彼の体温とか、華奢に見えるけれど
やっぱり男の子らしい筋肉のつき方とか

背中に回した掌から感じて
離れたくないなあ、と思った。


私の髪にひとつ、キスを落として去って行った彼。

扉が完全に閉まると
一気に脚の力が抜けて玄関に座り込む。


もう、私だけのゆうたくんじゃない。

だけど、ゆうたくんと一緒にいた時間は本物だから
いつかきっと素敵な思い出にするから

それまで彼と付き合っていた時間に浸るくらいは許して欲しい。



「っ、ふ、」



離れる決断をしたのは私なのに
心が痛くて苦しくて喪失感で涙が溢れる。



もう会えないから
もう会わないから

どんどん有名になっていくゆうたくんから逃げた私を
許さないでいい。


だけどゆうたくんが誰よりも幸せでいられるように
私が一番に願っている。




ゆうたくん、


大好きでした。

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