最後の雨

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地元では有名な夜景スポット。


Aが一人暮らしする家からも近いここは、

夏の蒸し暑い夜、コンビニに行った帰りにアイスを食べたり、
雪が降れば、まっさらな地面に足跡を付けて雪を投げ合ったり、
喧嘩したら、ここで仲直りすることだってあった。


俺らの大好きな場所のひとつ。



「綺麗すぎて、少しだけ怖くなるね、」



そう呟いた彼女の表情は暗くてよく分からない。

今にも消えてしまいそうで怖くなって声を掛けようとしたその時、
鼻先にひとつ、雫が落ちた。



ゆた「、雨、」



傘は持ってきていないし、本降りになったら二人とも濡れてしまう。



ゆた「A、車に」


「ゆうたくんあのね、」



車に戻ろうと促そうとした言葉を遮るように俺の名前を呼ぶ。


なんとなく、本当になんとなく、
続く言葉が安易に想像できてしまって、呼吸が浅くなる。


そうかもしれない、けれど違うかもしれない。


そんな思いが鬩ぎ合う中、彼女は次の言葉を紡いだ。



「私たち、もう終わりにしよう。」



すでに降りしきる雨。
髪も服も、濡れたせいで肌に纏わりついて気持ち悪い。

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