最後の雨

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「ねえゆうたくん、」



久しぶりのオフ、久しぶりのデート帰りの車の中、
会話が途切れたタイミングで愛おしい彼女が俺の名前を呼ぶ。


視線は前から外さないまま



ゆた「どした？」



そう問いかけると視界の端でAがこちらを向いたのが分かった。



「最後に、夜景見に行きたいな、」



有難いことに少しずつ知名度が上がってきた俺ら。


登録者100万人を目標に掲げてから一層
忙しさに比例してAと一緒に過ごせる時間が少なくなってからというもの、

会いたいだとか、もっと一緒にいたいだとか
そんな我儘を一切言わなくなった彼女からの久しぶりのそれは


俺にとってものすごく嬉しいもので。



「明日も撮影あるだろうから、無理にとは言わないんだけど、、」



少し眉を下げて笑うA。

最近、そうやって笑う彼女をよく見るようになった。


そんな顔をさせてしまっているのは紛れもなく俺。

忙しさを理由に会う時間も、
メッセージでやり取りする時間さえも
ないがしろにしてしまっていることを反省する。


いつも誰よりも傍で俺やチームを応援してくれているA。

そんな彼女の我儘は叶えられるだけ叶えたい。



ゆた「全然大丈夫だよ、いつものとこでいい？」


「有難う。」



毎日の感謝が伝わればいいと思って、Aの柔らかな髪を撫でた。

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