課長がお呼びです。 (ページ42)

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「おやすみのキス」

甘えた声にもびっくりしてて。

どうしたらいいのか分からない。

「はよしてえや」

急かされて泣きそう。

「・・・出来ない」

そう答えるのが精一杯。

「なんで？」

本当に不思議そうに聞かれた。

「俺とも嫌なん？」

大倉さんと一緒って意味？って聞かれてる。

「違います。
課長から・・・
亮から、が、いい」

一生分の勇気が要ったのに、
課長がふってからかうように笑うの。

すぐにキスしてくれるのかなって、
期待してたのに。

「される方のが好きやねんや？」

答えるのが難しい質問されただけ。

「・・・」

「甘えんぼさんやな。
ならおねだりしてみ？」

もう嫌。

意地悪ばっかりだ。

泣きそう。

錦戸課長なんか、嫌い。

本当に背中向けてやった。

「A？どうしたん？
なんで怒るん？」

課長、急にオロオロし出した。

自分がどれだけ意地悪してるか、
分かってないんだ。

だって錦戸課長はそういう人だもん。

真面目で優しい人って勘違いしてる、
会社のみんなに教えてやりたい。

「課長バカにするけん。
どうせ初めてやもん・・」

「えっ・・・」

課長がフリーズしてる。

気配でなんとなく分かる。

「ごめん。
ほんまにごめんな？」

急に優しくしても、許さない。

「A、昨日・・・
怖かった？」