課長がお呼びです。

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「私、ずっと、
カフェに行ってみたかったんです。
会社の近くの」


なんか、
希望がしょぼい。


「はあ？
行ったらええやろ。
いうか、行ったことないん？」


「あります。
あるけど・・・
錦戸課長と行ってみたかったんです」


嘘やろ。

ほんま？


これも考えられてた戦略？


頭ん中、混乱中。


「そんなんいつでも行けるから。
今日は遠出しよ。
せっかく車やねんし。
他は？」


「えっと・・・
本当に、あのカフェ、いつでも行けますか？」


なんでか俺が疑われてる。


「いつでも行ける。
なら、月曜に会社の帰りに行こか？」


「約束？」


俺を覗き込んだその表情。

仕草。


あかん。

めっちゃ可愛い。


「約束や。
やから、今日はどこ行く？」


自分でもびっくりするぐらいの優しい声が出た。


恥ずかしいわ。


「錦戸課長が普段行ってるところ」


そんな返事が返ってきた。


もしこれが芝居でも、にやけてくる。


頭ん中が可愛いのオンパレードで、
騙されるなって警告が押され気味。


やばいで、これ。

もう騙されてもええかなとか。

ちょっと思い始めてる。








俺がいつも一人で来てる水族館に連れて来た。


その前に着替えたい言われて、
こいつの部屋にも寄ったけど。

結局、俺の部屋でシャワーも浴びひんかったし。


めっちゃ慎ましいアパート暮らしで、
あんまりにも意外でびっくりした。


でっかい水槽の前。


いつもみたいにはしゃいで、
ぶりっ子したりして、
腕絡ませてきたりするんかなって。

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