それはまるで魔法のように【７】 (ページ29)

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＊つい … ＊ページ29

中島 side

キッチンまでAちゃんを運んでいる時。いきなり首筋を甘噛みされてビックリした。キッチンに降ろして、鍵谷に言われたように後ろから支えて、さっきの仕返しに俺も同じ様にAちゃんの首筋を甘噛み。

『卓さん、ちょ…あ、くすぐったいです！』

9「俺、甘噛みされたからお返ししなきゃやん？」

『そんなお返し…いりません。てか、やめて、くださいよお』

9「やめてほしいと？」

やったら、本気で嫌がって。と言って、俺より２０cm以上小さいAちゃんをギューッと抱きしめながら首筋を甘噛みしたり、におい嗅いだり、歯型がついちゃった所は舐めてみたり。

右足しか使えなくて、松葉杖も無い今この瞬間。Aちゃんを支えられるのは俺しかいない。だからAちゃんは逃げようにも逃げられん。ごめんな、こんな汚いやり方で。

『卓…さん』

9「何？」

『あの……ん、私、首、弱いんです。だから…その』

9「ふーん、Aちゃんって首弱いんや」

『え！あ、卓さん！！ちょ…っと、あかんから』

なんかもう、Aちゃんの反応が可愛くて。抱きしめてる腕にしがみついて、出てしまいそうな甘い声を必死で抑えている。そういうとこ。すげーいじめたくなる。

『卓さん、首、あっつい……火傷しそう』

9「ん？大丈夫やけん、火傷なんかしないから…」

『本当、ダメです…か、らあ！』

いつかみたいに、チュって首筋を吸い上げると、一点だけ真っ赤になる。もうあかん。と小さな声で言って、腰が砕けたらしいAちゃんを支えながら、ゆっくりキッチンの床に座る。

顔を真っ赤にしてへたり込んだAちゃんの前に回って、顔を覗き込むと、見ないでください！と言って俺の顔を小さい手で隠す。

30「イチャイチャしてないで、早く年越しそば作ってくれませんかね？」

声がした方を見るとカウンターの上から携帯を構えている鍵谷。陽平さん！た、助けてくださいぃぃい！と鍵谷を呼ぶAちゃん。

30「ここね、一応、俺の家だからね？」

おいで、A。と鍵谷が言うとクルッと体の向きを変えて鍵谷の元に向かい始めるから、少しだけ意地悪で、Aちゃんの方が先に俺の首筋、甘噛みしてきたけん。と言うと鍵谷がビックリしたように、本当に！？と。

『卓さんから甘いにおいしたから、つい』

30「つい。じゃないでしょ！」

としばらく今年最後の鍵谷のお説教。

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