それはまるで魔法のように【７】 (ページ3)

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＊プリン＊ページ3

郡 side

60「幸太郎、大丈夫？もうすぐAさん来るから」

21「はい、すみません…」

今日は土曜日。Aさんはシーズンオフは基本的に平日働いて土日休みのスタイル。土曜日の今日は、札幌でマーチング指導しているって言う高校の全国大会で埼玉に行っている。

夕方、Aさんが作り置きしてくれていたご飯を配膳していて、いつまで経っても幸太郎が起きてこないから部屋に行ってみると、ベットの上でグッタリしていて、すぐにAさんに電話。

すぐに帰るから、と電話を切られ、３０分交代で幸太郎の具合に変化がないかを看る。ああ、早く。早くAさん帰ってきて！！と思ったらバタバタっと廊下を走る音がして、ガチャっと部屋の扉が開く。

『幸太郎ちゃん！生きてる！？』

21「A…さん。辛いです」

『拓ちゃん、ありがとう。ここからは私が看るから』

とりあえず、体温測ろうか？と幸太郎の耳に体温計を当てる。

『あらあら、８度５分』

辛いね、よく頑張ったね。ご飯は食べた？と言うと、ううん。と首を振る幸太郎。食欲は？と言うと、これまた、ううん。と首を振る。一旦、Aと幸太郎の部屋を出る。

『拓ちゃん、連絡ありがとう』

60「いや、何していいか分からなかったので、すぐにAさんに電話しちゃいました」

『それが１番助かる。ありがと』

拓ちゃんも幸太郎ちゃんが具合悪くして、怖かったよね？看病してくれて、ありがとね？と階段を先に降りる俺の頭を撫でてくれる。

『私、これからお粥作るから、拓ちゃん、幸太郎ちゃんの身体拭いて着替えさせてくれへん？』

60「わかりました」

『多分汗びっしょりやと思うし。ポカリも飲ませてあげて？』

ストローも有るから、これ使ってあげて。とパッパと指示を出してくれる。ああ、きっと１軍の選手がAさんに絶大な信頼を置くのは、いざという時の対応力と行動力と判断力。なんだと思う。

洗面所に行ってタオルを持ってこようと思ったら、コンビニ寄ってポカリとか買ったんやけどさ。と言って引きとめられる。ちょっとしゃがんで？と言われしゃがむ。

『落ち着いたら、プリン。一緒に食べよ？』

食べたくなって買ってきちゃった。でも、２つしかないから、拓ちゃんと私の分。内緒だからね？と悪戯っ子のように言ってくる。年上なのに不覚にも可愛いと思った。

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