それはまるで魔法のように【７】 (ページ12)

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＊２人の時間 ( 洗濯 ) ＊ページ12

高濱 side

『これは？』

62「侑平っす」

『これは？』

62「自分です」

選手のユニフォームは業者さんにクリーニングに出しているけれど、練習で使うジャージとかＴシャツは交代でみんなで洗う事になっている。

『このＴシャツ可愛いやーん』

62「それ、今井のです」

昨日、トレーニング中に今井が着ていた、青色で胸に＂いなかの米＂と訳の分からない単語が書かれたＴシャツ。隣で干すのを手伝ってくれているAさんは大絶賛。

62「これ…は？」

『それ、私の』

俺らのでかい衣類に紛れて、青色の小さめのパーカー。背中に大きな杖にヘビが絡みついた不思議な絵が描いてある。

62「この絵、何ですか？」

『これ？スター・オブ・ライフって言って、救急のシンボルマークです』

こんなんでも私、一応救急救命士やからね？と洗濯物をバタバタさせてハンガーにかける。あ、パンツ入ってる。とボソッと言うAさん。

62「小物は各自でってなってるはずなんですけど」

『どーせ、お風呂に入る時にズボンとパンツ一緒に脱いだんちゃうの？』

62「あー、たぶんそれですね」

『これ、誰のパンツ？』

62「竜次やと思います」

わかった、ちょっと待ってて。と言って寮の中に入っていくAさん。そのまま、物干しを継続していたら、すぐに帰ってきた。

すると、さっき干した竜次の無地の灰色のボクサーパンツに＂竜次＂とデカデカとマジックで書いたAさん。

62「ええ！！小学生でもパンツに名前書く時、そんなお尻側にデカく書かないですよ！」

『確認しなかった竜があかんの』

62「いや、でも」

『大丈夫やって。水性マジックやから』

完全にいたずらっ子の顔をしているAさん。俺よりも年上やのに、こういう無邪気なところが、幼くさせるんやろうな。あ、いい意味で。

62「あいつ、相当ビビりますよ」

『その時の記録、動画に残したいな』

洗濯物取り込んだ時に、竜のパンツだけ別にするから、ドッキリしかけようや！と楽しそう。あと少ししたら、１軍の仕事に戻ってしまうから、少しの時間も惜しく思ってしまう。

『あ、そういえばさ、冷蔵庫の中に入ってる大量のヨーグルト誰の？』

62「森本さんやないですか？」

先週、退寮したよね？じゃあ、仕方ない。ご飯に使うかー。と食べたかったみたいに嬉しそうにいう。

Aさんとイタズラの作戦を立てる、この時間が好き。

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