* 悲 鳴 * ページ40
上沢 side
『こーんちゃん』
8「ん?」
んふふふ。と勿体ぶって言わないA。青く晴れ渡るアリゾナの空。着替え終わった選手からグランドに出てこんちゃんと練習の準備をしていた。
15「あれ?Aも動くの?」
8「ショートパンツだけど、ほぼほぼバレエスタイルじゃん」
『動きやすい服装やもん。ほら私、みなさんみたいにガッツリやなくマネージャーみたいなもんやからなんでもええの。』
それで、こんちゃん。あれから、どれくらい柔らかくなりましたか?とにっこり話しかけるA。サーッと顔が青くなるこんちゃん。
8「それなりに……柔らかくなった!」
『あ!こら、逃げんな!』
逃げるが勝ちだ!と言わんばかりに猛ダッシュするこんちゃんを、即座に追いかけるA。近くで準備していた鍵さんが、元気だなあ。と。
ぐんぐんAが突き放されるかと思いきや、徐々に追いつき、こんちゃんの肩を掴んで2人で倒れこむ。キャンキャンじゃれ合う犬じゃん。
腕をがっしり掴まれて、連行されて来るこんちゃん。近くに優心も来て、あれ。どうしたんですか?と聞いてくるから、見てればわかるよ。と答える。
『sit down.』
8「……はい。」
渋々人工芝の上に座る、こんちゃん。じゃあ前に足揃えて。そう、長座体前屈やってくださーい。と言われ、うっ!と苦しそうな声を上げて前に倒れる。
『近藤さん』
8「はい」
『サボりましたね?』
8「はい」
『私、選手の柔軟指導を任されているんですよ』
8「はい」
この意味、わかりますよね?と圧力をかけてくるA。もう泣きそうな顔で訴えてくるこんちゃんから思わず顔を背けてしまった。
『はい、骨盤立てる!太ももにお腹をくっつけるようにね?1、2、3で押すから3で息吐いてねー。いきますよー。はい、1、2、さーん』
8「痛ーーーい!ギブギブギブギブ、本当、お願いだから」
『あと10秒がーまーんー!あ、ダメダメこんちゃん息して!お願い』
グランドに響き渡るこんちゃんの悲鳴。聞きなれない悲鳴にグランドの視線がこんちゃんに注目。優心は俺と一緒にストレッチしようねー。と鍵さんと優心が巻き込まれないように少し離れたところで柔軟を始める。
開脚しての柔軟も終えて、また1人で足が閉じられなくなったこんちゃんの足をまた容赦なくAが強制的に閉じる。
『あかんやん』
8「はい、すみませんでした」
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作者名:歌子(かこ) | 作者ホームページ:https://bit.ly/35Iex9O
作成日時:2018年8月10日 11時