* 口 が 裂 け て も * ページ24
石川 side
『白い恋人やろ、マルセイのバターサンドやろ、じゃがポックルやろ、あとは…』
G49「わかった、わかった。北海道楽しかったんやな」
『せやねん!もう登別温泉みんなで行ったやんか?足湯とか入ったりな。あと雪!めっちゃキレイやってん』
G49「はいはい、よかったなー」
どうやらAは、ファイターズの面々と北海道旅行に行ったらしい。元いた俺より仲良しやん。なんなん。93年会のLINEで上沢と剛から楽しそうな写真が送られてきて知った。こんちゃん、行ってないんや。
『はい!大将にもお土産』
大将「お、ありがとう」
久しぶりに来た、西船のいつもの店。Aは定期的に来とるらしいけど、俺は久し振り。興奮気味で北海道旅行の話をするAの話を、はいはい。と遇らいながらビールを飲む。
大将「そうだ、今年の慎吾くんの自主トレAちゃんついて行ったんだって?」
『大将が余計なこと慎吾に吹き込むから巻き添えくらったやん』
大将「慎吾くんのためにアスリートフードマイスターの資格取ったんじゃないの?」
『ちゃいますよ。自己啓発です』
なーんで私が慎吾のために資格取らなあかんのか意味わからん。と隣でエイヒレを肴に温燗を飲む。おっさんやん。
大将「次は?ついていくの」
『行くわけないやないですか』
G49「え、即答?」
『当たり前やんか。前回は食トレっていう目的があったやろ?今回、何も無いなら私行く意味ないやん。休暇の無駄遣いや。』
言えない。ついてきて欲しいなんて、口が裂けても言えない。
『しかも今回は2月の頭にステージあるから無理』
G49「今度は何にでるん?」
『楽器を持って踊る。がテーマのオケの演奏会に友情出演って事で、バレエ踊るの』
だから今、減量中。とまた温燗を煽る。え?痩せたん?と聞くと、5キロ減量しました。とエッヘンと効果音が付きそうなドヤ顔で言ってきた。
G49「バレエって、白鳥のやつ?」
『演目はちゃうけどそれ』
トゥーシューズで踊らなあかんから、もう足がボロボロやわ。とまたまた温燗を煽る。太るで。と言えば、パシッといい音で太腿をビンタされる。
G49「てかバレエなんてやってたん?」
『中学の途中まではガッツリやっててん。でも全然身長伸びひんから諦めてん』
ふーん。と興味の無いふりをするけれど、知らないAの過去の1ページを知れて少しの優越感に浸る。
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作者名:歌子(かこ) | 作者ホームページ:https://bit.ly/35Iex9O
作成日時:2018年8月10日 11時