終わらない夏 ー完結ー

09 三角関係 ページ9

「いや、つい虐めてみたくなってやっただけやから」

「やっぱりヒカルさんは意地悪なんですね」


まえすさんへの態度を見ていてSっけがあるなーとは思っていたが、それが現実で起きて意地悪された私は少しだけムスっとして見せた。
するとヒカルさんは一歩私の側へ寄って、


「俺が女を虐めたくなるのは気がある証拠やで？」

「…っ！」


そう耳元で囁かれ、私は咄嗟に耳に手を当てて身体を後ろへと引いた。
彼が言った言葉の意味も理解し、一気に顔に熱をもったのが分かる。


「またそうやってからかう…っ！」


私の側から離れたヒカルさんに文句を言おうとした時、


「A？」

「！、山田」


自分の名を呼ばれて振り向くと、そこには心配そうな表情を浮かべている山田が立っていた。


「お前のデスクに行ったら居ないし、向かいの席の子から慌てて受付に向かって走ったって聞いて来たんだけど…」

「あ、ちょっと急用で」

「急用…、ね」


私の横に並んだ山田の目は目の前にいるヒカルさんへと向いた。


「初めまして」

「初めまして、ヒカルくんだよね？YouTuberの」

「あ、俺の事知ってるんですね」


なんだろう。
二人の会話に少し棘を感じるのは気のせいかしら。

そう不安になりながらも、黙って二人の会話を聞くことにした。

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