終わらない夏ー完結ー (ページ29)

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【番外編】心機一転ページ29

「ごめんなさい…」

山田先輩を会社近くの公園に呼び出し、私は開口一番に謝罪を述べて頭を下げた。

「山田先輩の気持ちは嬉しいんですけど、その気持ちには答えられないです…」

頭をゆっくりと上げて理由を説明するけれど、その間も気まずくって山田先輩の顔は見れなかった。
少しの沈黙が流れて、それを先に破ったのは山田先輩だった。

「そんな気はしてた。Aはあいつの事が好きなの？」

山田先輩がいうあいつとは、きっと圭太くんの事を指しているんだろう。
黙ってコクリと頷くと、悲しい表情を浮かべながらも山田先輩は私の頭に手を置いた。

「これで気まずくなるのは嫌だからさ。また先輩後輩として接してほしいな」

「勿論です。山田先輩の事一番尊敬しているので、また改めて宜しくお願い致します…」

ーーー

本当に最後の最後まで私に気を使う山田先輩を傷つけてしまったけれど、それでも私の心は圭太くんだけなんだ。
そのまま会社に戻ると言う先輩を見送って、帰り支度の済んでいた私は近くのベンチに一人腰を下ろした。

「はぁ…」

張り詰めていた緊張の糸が溶けた途端、自然と溜息が漏れた。
人の告白を断るなんて初めてだったから尚更緊張した。
今までは来るもの拒まず状態で、取り敢えず付き合ってから好きになろうとしてみたけれど、やっぱり圭太くんの事を忘れられず、結局別れてしまうパターンがお決まり化していたのも事実。

「…圭太くん、何してるのかな」

ふと、圭太くんの顔が浮かんだ。
姫路から帰ってきてからはまだ一度も会えていないけれど、連絡は毎日取ってはいる。
とは言っても、そんなにやり取りの数は少ないけれど、仕事優先の圭太くんが大好きだから仕方がない。
寂しい気持ちもあるけど、仕事を疎かにして欲しくもないし。

だから次会えたら、これでもかーってくらい甘えちゃおう。

圭太くんの恋人として…。

【心機一転】

ーーー

先輩とその後のお話