23 彼色 ページ23
外はもう夕暮れ時であっという間にオレンジ色の空模様。
ヒカルさんからは夕方ぐらいには姫路に着くと言われてはいたけれど、私が最後に送ったメッセージは既読が付かないまま。
お仕事忙しいんだろうな…。
きっとライブも近いしリハーサルとかもあるはず。
普段の動画の撮影に編集、それにプラスしてライブもあれば携帯なんて見る暇もないはず。
「ほら、出来たで」
「え」
気づくとお婆ちゃんがあっという間に浴衣の着付けを終わらせてくれていた。
姿見に映るのは、黒地に黄色のお花が咲いている浴衣。
帯は赤色で引き締められ、髪も1つに纏められている。
なんだろう…。
この浴衣の色、まるで…、
「なんかあの子の髪の色やね」
「!」
それはまるでヒカルさんに包み込まれていると錯覚してしまうほど。
これを全部選んだのがヒカルさんだから、余計わざとなのかなって思ってしまう。
「…本当に一人で平気かい?」
鏡に映るお婆ちゃんは、少し心配そうな眼差しで私を見ていた。
「大丈夫ですよ!圭太さんには会場で待つって連絡は入れておいたので、それに先に行って色々と見てみたいなーって思って!」
その心配を少しでも晴らそうと、私は元気いっぱいに返した。
小さい頃、一度だけヒカルさんと一緒に見た花火。
殆ど薄れてしまった記憶も、きっと直接行けば思え出せそうな気がする。
そして、ヒカルさんに会ったら伝えよう。
私の気持ちを、あの思い出の場所で…。
60人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
揶揄 - 最近見始めました!すごく面白いです! (2019年9月22日 9時) (レス) id: f13e29755c (このIDを非表示/違反報告)
虎苦迷花さん推しのぴかちゅう - まぢすこ…(( (2019年9月21日 20時) (レス) id: d00440de79 (このIDを非表示/違反報告)
金亀子?(プロフ) - めちゃめちゃ面白いです、!!! (2019年9月7日 23時) (レス) id: a3d0a4cc33 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:如月香葉 | 作成日時:2019年7月30日 22時