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竜 「……楽しく、なかった?
俺、もう少し一緒に…、」
うっわ、なに素直にそのまま聞いてんだ。
何かいい感じに聞けよ。
てか、俺、最後に何て言おうとした……?
『ううん、すっごく楽しかったです。
でも…、』
でも?
続きを聞くのがちょっと怖かったが、
彼女は穏やかな表情。…え?
『竜胆くん、すごく疲れてるんじゃない?
運転中、たまに欠伸我慢してたから…。
だから、
戻って私の部屋でゆっくりしませんか?』
竜 「……え?」
またしてもAちゃんは、
俺の予想の斜め上をいっていた。
アジトへ到着。
車を降りて、彼女がドアを開けたところに
手を差し出す。
そして彼女の荷物を持って、2人で部屋へ。
そーいうコトを想像した俺だったが、
彼女の真意は、
お礼のお菓子を作る間、休んでいて下さい、で。
少し残念に思いながら、
同じフロアに俺の自室もあることを知らないんだろうなと、察したが、黙っておいた。
『荷物、本当にありがとう。
ゆっくりしててね。
寝ちゃっても大丈夫ですから。
コーヒーでいい?
……それとも、ホットミルクにします?
蘭さんにもらったココアもありますよ。』
竜 「ははっ、じゃあ今日はコーヒーで。」
『ふふっ、残念。』
イタズラっ子のような顔した彼女は、
その言葉に反して嬉しそうにミニキッチンへ向かって行った。
コーヒーに口をつけ、
ぼんやり彼女を見つめる。
お菓子作りなんて生まれて初めて見た。
よく分かんねーけど、
手を止めることなく、くるくる動き回る彼女は、
見ていて飽きない。
……俺はスマホを出してるけど、殆ど見てない。
それに普段と違い、髪を1つに束ね、ポニーテールにしている彼女。そういうのも似合う。
竜 「そういや、何作ってんの?」
『ティラミスです。
竜胆さんが買ってきてくれた物には
負けちゃうけどね。』
竜 「ティラミスって作れんだ。」
『よかったら、ここで食べて行かれます?』
竜 「…いいの?」
『今度こそ、一緒に食べましょ?』
そう言って、綺麗に笑った彼女。
ドクンッ。
……あー、だめだ。
また、得意の軽口が出ない。
何でこんなに気になって、
様子を見に来てしまうのか。
何で貴重なオフの日に、
彼女の休暇に付き合いたかったのか。
何で一緒に働くココに
みっともなく嫉妬してしまうのか。
俺は、
Aちゃんが好きなんだ。
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きりん。(プロフ) - 紫月_siduki??_さん» がんばります!ではでは(^^) (2022年11月15日 17時) (レス) id: 8c61cff3a5 (このIDを非表示/違反報告)
紫月_siduki??_(プロフ) - 頑張ってください(ง •̀_•́)ง (2022年11月15日 17時) (レス) id: 6f5f0e8f06 (このIDを非表示/違反報告)
きりん。(プロフ) - 紫月_siduki??_さん» 嬉しいお言葉、ありがとうございます!このコメント欄でのやり取りを繋がってるって言うのかな?疎くてすみません…(^_^;)今作も楽しんでいただけるよう頑張りますね! (2022年11月15日 16時) (レス) id: 8c61cff3a5 (このIDを非表示/違反報告)
紫月_siduki??_(プロフ) - いや…すきで読んでるんで!!!キリンさんとは…本当に繋がりたいです((繋がってるのかな、? (2022年11月15日 16時) (レス) id: 6f5f0e8f06 (このIDを非表示/違反報告)
きりん。(プロフ) - 紫月_siduki??_さん» 紫月さん、こんにちは。ありがとうございます。お手隙な時にでも、気軽にお読み下さると嬉しいです! (2022年11月15日 16時) (レス) @page23 id: 8c61cff3a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きりん。 | 作成日時:2022年11月5日 18時