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目の下に大きな隈がある、
私よりもずいぶん若そうな男の人に連れられ、
エレベーターで最上階にやってきた。
私たちは特に何も話すでもなく手前の部屋に入る。
そしてようやく、彼が口を開いた。
? 「…30分やる。
自分は使えると証明してみろ。」
『…30分…?証明…?」
それだけ言うと、彼は部屋を出て行ってしまった。
部屋を見渡すと、会議室のようで、机と椅子並んでいる。
その一角にパソコンが1台。隣には書類が束になっていた。
右側には扉があり、少し開いたそこから中が見えた。
給湯室のようだ。
きっと会議の時のお茶出し用かな。
訳もわからないまま、パソコンを開く。
起ち上がるまでの時間で、
隣の書類にざっと目を通していく。
これ…、随分見づらい書類だな。
何かの、貿易に関する資料のようだ。
20枚くらいの資料だけど、
かなり無駄が多いように感じた。
起動したPCを見てみると、
デスクトップには制限時間が表示された。
中身は、基本的なソフトが入っているだけで、
フォルダの中は空っぽ。
とりあえず私は、
この資料の作り直しを始めた。
30分後、先ほどの隈のある男が
部屋へと戻ってくると、
まさかの無人。
脱走は不可能だったはず。
扉は施錠されているし、窓も開かない。
開いたとしても、高層ビルの最上階で、どうすることも出来ない。
すると給湯室から物音と人影。
? 「…あ?」
『あ、すみません。勝手に使ってしまって…。
これホットミルクです。どうぞ。』
? 「…なんで牛乳。」
『隈、ひどかったので…。
紅茶やオレにするのに使うためか、置いてあったので良かったです。
…もしかして、牛乳、お嫌いでした?』
その人はホットミルクを受け取らず、
パソコンを開いて、
私の作り直した書類に目を通し始める。
懲りずに私は、その近くにホットミルクを置いた。
見終わったらしい彼は、パソコンを閉じ、
薄ら笑みを浮かべた。
そしてホットミルクを手に取り、一気に喉へ流し込んだ。
…あ、嫌いじゃなかったみたい。よかった。
万 「…お前、俺が怖くねェの?」
『え、あぁ、え?お若いのに、苦労されているんだろうなぁっては思いますけど…。』
万 「…資料、見やすい。完璧だ。
何分で作り終わった?」
『えっと、10分前くらいに…。』
万 「………気に入った。
ウチに置いておいてもいい。」
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きりん。(プロフ) - 紫月_siduki??_さん» がんばります!ではでは(^^) (2022年11月15日 17時) (レス) id: 8c61cff3a5 (このIDを非表示/違反報告)
紫月_siduki??_(プロフ) - 頑張ってください(ง •̀_•́)ง (2022年11月15日 17時) (レス) id: 6f5f0e8f06 (このIDを非表示/違反報告)
きりん。(プロフ) - 紫月_siduki??_さん» 嬉しいお言葉、ありがとうございます!このコメント欄でのやり取りを繋がってるって言うのかな?疎くてすみません…(^_^;)今作も楽しんでいただけるよう頑張りますね! (2022年11月15日 16時) (レス) id: 8c61cff3a5 (このIDを非表示/違反報告)
紫月_siduki??_(プロフ) - いや…すきで読んでるんで!!!キリンさんとは…本当に繋がりたいです((繋がってるのかな、? (2022年11月15日 16時) (レス) id: 6f5f0e8f06 (このIDを非表示/違反報告)
きりん。(プロフ) - 紫月_siduki??_さん» 紫月さん、こんにちは。ありがとうございます。お手隙な時にでも、気軽にお読み下さると嬉しいです! (2022年11月15日 16時) (レス) @page23 id: 8c61cff3a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きりん。 | 作成日時:2022年11月5日 18時