家出、助けます。【梵天】

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3ヶ月もこの生活が続けば
涙も枯れる。





朝早く、4時前後に帰ってくる彼。


玄関に出迎えに行くのが遅れると
顔を殴られた。


食事とお風呂の準備が完璧に出来ていないと
胸ぐらを掴まれて突き飛ばされた。


いつでも愛想が悪いと
脚を蹴られる。


そして、午前中の内にまた出勤するのを
見送りに行くのが遅れると、
また顔を殴られる。











仕事は花嫁修行という名目で
辞めさせられた。


友人、同僚と会うことはおろか、
宅配、郵便の受け取りもさせてもらえない。


というか、
私は玄関の扉を開けることすら
禁止されている。


窓はある。嵌め殺しの。


食材や日用品は
彼がネットで頼んでいるよう。


もちろん彼が受け取り、
箱詰めのまま置かれた物を私が整理する。


これも片付けが遅れると
拳が飛んでくる。




携帯はここに来た初日に真っ二つ。
この家に電話はない。


連絡を取るような相手も、
心配してくれるような人もいないけど。







唯一の救いは、彼が私にそういうことを
求めてこないこと。


同棲を始める前に一度だけ、
そういうことを求められた。


だが、
まったくと言っていいほど濡れなかった私は、
彼を受け付けなかった。


それ以来、一度も求められたことはない。


帰ってきた彼のスーツから、
女性物の香水の甘ったるい匂いが香ることがある。


そういうことだろう。
別にかまわない。
むしろ、どうかそうして下さい。





それでも私がここにいる理由。




…あれ？
何かあったような気がしたのに
忘れちゃった。

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