第十一章〜子供達と鴉〜 ページ43
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『鴉が鳴くからかーえろ♪』
太陽が沈む夕暮れ時、周りからは弾んだ歌声が聞こえる。
例えば、母親が子供の手を引いて歌っていたり兎に角親子連れが多い。
百合はふと、足を止めた。
子供はもう帰る時間なのだが、河原ではまだ何人かの小さな子供達が残って居た。
見た目からして四、五歳だろう。
そんな幼い子供達は、隠れんぼをしたり、影送りをしたり、色々な遊びをしていてその時の子供達の賑やかな声が河原に轟く。
そんな鬼ごっこをして楽しそうに遊ぶ子供達の内の一人が転けた。
百合「あっ…!」
百合は我知らず、無意識のうちに足を走らせていた。
百合は弱き者や小さき者を見るとどうも、見捨ていられない性格だ。
男の子は、痛さで泣きじゃくっている。
まず、最初は大丈夫?と聞くべきだろかと一瞬迷った百合だがあの状況を見れば大丈夫じゃない事ぐらい分かる。
だから、こう言う事にした。
百合「怪我した方の足出して」
出来るだけ、幼子にでもわかる言葉で。
丁寧に。
ゆっくりと。落ち着いた口調で。
百合は其れを心掛けて話した。
男の子は、無言でゆっくりと足を差し出す。
百合は自分が着ていた服の一部を破り取り其れを一枚の布にし男の子の怪我した方に巻き付ける。
百合は、先程から無言になっている男の子に顔を向けた。
だって、普通の子供だったらこんな知らない奴に何も抵抗しないなんて可笑しい。
そう、思ったからだ。
だが。
男の子「お姉ちゃん。誰?」
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作者名:如月輝夜 | 作成日時:2016年9月16日 21時