能面執事２【紫】 (ページ9)

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59. 甘さと結婚ページ9

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コンコン

「失礼します。

A様、おはようございます。」

２週間近くかけて、ようやく堅苦しい敬語から

敬語、くらいのレベルになった濱田。

相変わらず、仕事は完璧過ぎるほどに完璧だし、

あの日の濱田はいないと言っても過言じゃないけど、

「ほーら、起きぃ」

なんかちょっとだけ甘くなる時があって、

私の心臓は朝からギブアップを告げそうだ。

「本日は、藤井家との会食がございます。

流星様とご一緒に、車でいつものレストランでありますので忘れずに。」

「はーい。」

美味しい美味しい神山の作った朝食を食べながら聞き流す。

「A、今日藤井んとこと会食なん？

珍しい組み合わせやな。」

コーヒー片手にお兄ちゃんが言った。

…確かに。会食ってことはお互いのお父さんもいるだろう。

「……もしかして、結婚の話とか…？」

ガシャーン

隣で濱田が手帳を落とした。

「はまちゃん、動揺しすぎやろ」

笑いを堪えきれないみたいなお兄ちゃんが言う。

「淳太お前ほんま…！」

「あーあーごめんって」

「ったく、…

…A様、そろそろ着替えなくては一限間に合いませんよ。」

「あっ！やば！」

急いでダイニングを出ていった。

「淳太ほんま覚えとけよ……」

「頑張りや、はまちゃん」