58. やだとお願い ページ8
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そう思ったら、急に心臓の音が早くなって、
そっと離れた体は寂しいと感じる。
「ありがとう、大切にする。」
キーホルダーを見て微笑んだ濱田に、
より鼓動が早まる。
あぁ、恋するってこんな感じだったっけ。
帰ろ。
そう言ってまた手を繋いだ濱田に着いてった。
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「……、っ……
A、起きて」
「…ん、あ、 …ついた？」
車から降りるといつもの見慣れた家があった。
今日も終わりか。
「デート終わったら、また執事と主人の関係に戻るので。
……、今日はほんまに…」
「やだ、…」
口からこぼれた言葉。
ついさっき。
やっと好きって自覚したのに、
二ヶ月後には誰かと結婚しなくちゃならなくて。
今日のこの一日が終わってしまえば、
何にも無かったみたいな執事の濱田に戻ってしまう。
2度と崇裕、なんて呼べないだろう。
そう考えて俯いた。
「A…？」
優しい声で呼ばれて目線を上げると、
おでこに優しくキスされた。
「……この続きは、二ヶ月後の旦那様にお願いしてくださいね。」
「…っ……
一つだけ、お願いがあるの。」
「…？ なんでしょう。」
「これからは…、仕える間、
普通の、今日みたいな濱田でいて欲しい。
それだけ。…それだけお願い。」
「…わかりました。
完全には出来兼ねますが、努力はしてみます。」
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作者名：ちい
| 作成日時：2017年10月9日 0時
