能面執事２【紫】 (ページ1)

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51. 名前とよびすてページ1

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「どうぞ。」

今日は初めて…いや、酔った時を含めると

２回目の濱田の運転。

だけど、助手席に乗るのは初めてだ。

運転席に乗り込んだ濱田は、何も言わずに

後部座席に置いてあったブランケットを膝に掛けてくれた。

「…ありがと」

「いえ。」

エンジンをかけて、重岡が運転する時よりも

ゆっくりと進み出す車。

今気付いたけど、濱田も私服なんだ。

スウェット生地のロング白Tシャツに、

黒のスキニージーンズ。

オーバーサイズのデニムコートを羽織ってて、

いつもの燕尾服からは到底想像もつかないくらい、似合ってる。

「あの…」

気まずそうな声が聞こえる。

「ん？」

「そんなに見られると運転しにくいです…」

「え？…あぁ！ごめん…」

目を泳がせた濱田は、そのまま言葉を続けた。

「それと、本日はデート、ですので、

旦那様からもう一つご命令を承っております。」

「……まだあるのね。…なに？」

「今日1日は、敬語無しで過ごせ。との事です。」

なんだ、そんな事か。よかった。

「ええ、いいわよ。

私はそのままだから、濱田が変えれば済む話よね。」

「はい、…では。

……A。」

赤信号になったタイミングで目を合わせて私の名前を呼ぶ濱田。

心臓が今までにないくらい大きくはねた音がした。

「と、お呼びさせて頂きますね。」

練習かい！