56 望 side ページ12
望 side
すると、彼女は一瞬の間を空けたあと。
「楽しいよ、街も人も････、すごく素敵」
そう言って、ほんの少しだけ嬉しそうに笑ってくれた。
そして俺の隣に腰を下ろし、体育座りで稽古場を眺める彼女。
膝を抱えるその姿は、なんだかとても小さくて････
オーバーサイズのベージュのニットが、華奢な身体を余計華奢に見せているのかもしれない。
長めの袖から僅かに出ている指先は、白くて細い。
さっき触れてしまった指先の冷たさが、俺の指にも移りまだ残っているような気がした。
「････わたしね、びっくりしたの」
こっそり見惚れていた俺にまったく気がついていない彼女が、真っ直ぐ前を向いたまま、小さな声で話し始めた。
「････？ 何に？」
「正直、アイドルをバカにしてた」
彼女が思っていたアイドルのイメージ、とは。
カメラを向けられているときだけキラキラの笑顔を振りまいて。
カメラが止まった途端に無愛想になって。
周りの大人たちにすべてを任せて楽をし、甘やかされ、横柄な態度を取るのが当たり前。
なんの努力もせず、見た目と事務所の力だけでのし上がる。
と、いうような感じだったらしく。
「ははっ！そんな絵に描いたような嫌なやつ、うちの事務所にはおらんで！(笑)」
思わず笑ってツッコんだけど、彼女は笑っていなかった。
その視線の先では、しげと神ちゃんが２人のやりとりを稽古している。
このシーンは今回の舞台で見所の一つになるんじゃないかってくらい、熱の入ったシーンで。
シゲの絶叫が、稽古場に響き渡る。
「毎日何時間も稽古して、短い期間でセリフも歌もダンスも叩きこんで、本当にすごい････」
そう呟く横顔を黙って見つめていると、微かに口元が動いてるのがわかった。
(････濱ちゃんの言う通りや！)
ただ、ジャニーさんに言われたからここにいるんじゃなくて。
ちゃんと真剣に、セリフが頭に入るほど見てくれている。
見学に来た日は、朝早くから夜遅くまでずっと稽古場にいるし････
(････なんで？なんでそこまでするん？)
．
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のの - とても面白くて引き込まれます！！更新されるの楽しみにしてます！！ (2018年11月1日 16時) (
レス) id: 365eb0a412 (このIDを非表示/違反報告)
カンナ(プロフ) - Momijiさん» コメントありがとうございます！そう言っていただけると、作ってみてよかったなぁと思えます( ´艸｀)亀更新ですが、これからもぜひ見てやってください！ (2018年9月23日 14時) (レス) id: 5e11c879ce (このIDを非表示/違反報告)
カンナ(プロフ) - たたろんちーの。さん» コメントありがとうございます！見てすぐ直させていただきました。言われなければいつまでも気づかなかったかもしれませんε-(´∀｀; ) (2018年9月23日 14時) (レス) id: 5e11c879ce (このIDを非表示/違反報告)
Momiji(プロフ) - とても感動して 一気に読んでしまいましたw これからも楽しみにしてますヽ(*´∀｀)ノ (2018年9月20日 12時) (レス) id: 2e55428159 (このIDを非表示/違反報告)
たたろんちーの。 - 47が2つありますよ！ (2018年9月19日 22時) (レス) id: 095122a28b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：カンナ | 作成日時：2018年9月19日 17時
